ウクライナ危機:全紛争当事者に一般市民の保護を呼びかける

2015.01.20
ルガンスク地方ぺルボマイスキー。砲撃によって破壊されたアパート。©M. Dondyuk/ICRC

ルガンスク地方ぺルボマイスキー。砲撃によって破壊されたアパート。©M. Dondyuk/ICRC

 

ウクライナ東部のドネツクとその周辺で激化している戦闘は、一般市民の犠牲を生み、ドネツクにおける赤十字国際委員会(ICRC)の人道支援活動の妨げとなっています。

 

「全紛争当事者に対して、一般市民への攻撃を止め、国際人道法を遵守するよう、呼びかけています」とICRCのウクライナ代表部で首席代表を務めるミシェル・マッソンは言います。「特に、無差別攻撃は禁じられているということを再三伝えています。この2週間でウクライナ東部における戦闘が激化していることに、私たちは大きな懸念を持っています。1月13日にドネツクのヴォルノヴァハでバスに乗っていた民間人が襲撃された事件は、一般市民が置かれている状況が、許容範囲を超えてきているということを示しています」。

 

過酷な冬の訪れや、ドネツクおよびルガンスク地方の一部で社会保障の給付が停止していることを受け、状況はさらに悪化しています。私たちはウクライナ赤十字社および現地当局と協力し、ルガンスクとドネツク地方に暮らす住民と国内避難民に食料や衛生用品、医療物資、そして建築資材を配付しています。

 

また、ウクライナ政府当局の管理下にあるザポリージャやオデッサ、ポルタヴァ、ハリコフ、マリウポリ、キエフの収容所に拘束されている人々を訪問しています。

 

1月15日には、ウクライナ政府当局の管理下にないドネツクの刑務所の訪問も開始しました。ICRCがこのような施設を訪問するのは、ウクライナで活動を開始して以来初めてのことです。

 

収容所訪問の目的は、被拘束者への待遇や、十分な食料や医療を受けているかなどの生活状況を確認するためです。私たちは、世界各地で紛争および暴力を伴う事態が原因で拘束されている人々を訪問しています。

 

ICRCは2014年10月から2015年1月の間に、以下の活動を行いました。

 

  • ウクライナ政府当局の管理下にないドネツクおよびルガンスク地方で、食料や衛生用品、医療物資、毛布、防水シートなど、2000トン以上の救援物資を届けました。
  • ドネツクおよびルガンスク地方に暮らす住民と国内避難民4万5000人に食料やその他物資を届けました。
  • 砲撃の被害を受けた公共施設や住居の修復に用いる屋根材や修理道具を州当局に届けました。
  • 戦闘による負傷者や国内避難民の治療に使用する創傷包帯や外科手術用品、輸血セット、インシュリン、その他の医療物資を、ドネツクおよびルガンスク地方の45の病院に届けました。ドネツクとマリウポリの病院も含みます。
  • ハリコフとマリウポリの避難民を支援するため、ウクライナ赤十字社を通して現金引換券を配付しました。2015年1月までに200フリヴニャ(15USドル強程度)相当の引換券を約3万5000人に配付しています。
  • クリミアやロシア西部、コーカサス北部、ベラルーシの赤十字社支部を支援し、ウクライナからの避難民6万人に食料や衛生用品を届けました。

 

原文は、本部サイト(英語)をご覧下さい。