武器貿易条約:早急な合意を求める
ジュネーブ/ニューヨーク(ICRC)- 国家間の武器移転・移譲に関する規準制定のためニューヨークで開催された武器貿易条約(ATT)国連会議は7月27日、草案への合意が至らないまま閉幕しました。合意には至らなかったものの、参加国の大多数は、武器の移転によって戦争犯罪や国際人権法の侵害を犯すおそれのある国へは武器を移転しない基準を設けることを支持しました。
ICRC武器チーム代表のPeter Herbyは「ATT草案に合意が至らなかったことは大変残念です」と失望の意を表明しました。
最終草案は、参加国に対し、輸出入する通常兵器や弾薬が人道法・人権法の侵害につながる危険性を評価することを求めるものでした。危険性が明らかになった場合、参加国は武器の輸出入を拒否しなければなりません。この評価基準は、これまでICRCが武器の移転に関して提唱してきた主要規定の1つです。
「武器の移転に関する規定が不完全なことにで最終的に被害を被るのは一般市民です。人々が悲惨な被害を受けないですむよう、ATTは早急に成立される必要があります」とHerbyは強く訴え、「ATTは人道的に不可欠な規則です。ICRCは各国政府、各国赤十字社・赤新月社、国連、その他組織と協力し、ATTの成立に向けて今後も取り組んでいきます」と説明しました。
武器の移転に関する規定が不完全な限り、人々は計り知れない被害に苛まれ続けます。ICRCはすべての国に対し、今回の会議で合意される予定だった条約を遵守し、早急にATTに関する討議を結論づけるよう呼びかけています。
ICRCがジュネーブ諸条約加入国からの要請を受けて、現場経験を基に行った研究では、規制のない状態で武器が入手・使用された場合、緊張状態が悪化し武器の無差別使用が促進され、さらには一般市民の犠牲者が増加することが実証されています。ICRCはこの研究結果に基づき、1999年から国家間での武器移転に強い規制を設けるよう訴えてきました。
詳細な記事はICRCジュネーブ本部(英語)で確認できます。