ウクライナ/ロシア:ウクライナ東部での支援活動に合意

2015.02.27

ukraine-boy-box-03

ジューネーブ/キエフ/モスクワ(ICRC)- 赤十字国際委員会(ICRC)総裁のペーター・マウラーは、モスクワとキエフでのハイレベル対話を本日終えました。議題は、ウクライナ東部における深刻な人道的危機に集中し、支援を必要としている人々が、確実に物資を手にできるようにすべきだと訴えました。4日間にわたる現地訪問では、ウラジーミル・プーチン大統領やペトロ・ポロシェンコ大統領、そして両国の政府高官と会いました。

 

「紛争の影響下にある一般市民に支援の手を差し伸べることについて、ポロシェンコ大統領とプーチン大統領の双方からコミットメントを得ることができました。ミンスク合意の履行により、今後数週間で私たちの支援活動が拡充することになります」とマウラーは話します。「この紛争は許容し難いほどの流血を引き起こし、犠牲を強いられているのは一般市民です。私たちは、停戦が続くことを願っています。そして、紛争の被害を受けた地域で人道支援を行うための国際的なメカニズムの構築において、専門的なアドバイスを提供する用意もできています。しかし、紛争当事者がこのメカニズムに責任を持って関わらなければなりません。」

 

ウクライナ東部での戦闘では、少なくとも6000人の命が奪われたとされていますが、さらに多くの人々が被害を受けていると考えられています。「私たちはこの紛争による被害の全容をまだ把握しきれていません」とマウラーは語ります。「ウクライナ東部の人口の半分が、避難を余儀なくされています。人々は愛する者を埋葬し、行方不明となっている親戚や友人を探しています。」

 

マウラーは、これまで紛争で使用されてきた兵器への懸念についても触れました。「ロケット弾や大砲、追撃砲は、住宅街や広場にふさわしくありません。人口過密地帯で使用されれば、不正確かつ無差別な攻撃につながる可能性はとても高く、結果として市民が苦しむことになります。」

 

紛争の前線やその周辺に住む市民は、重ロケットや大砲による爆撃の影響下にあります。このような地域に人道アクセスを確保することが最も重要です。病院や学校、他の重要なインフラが損壊し、必要なサービスが崩壊しました。これは、以前からの経済危機と相まって、復興が非常には困難であることを意味します。紛争による影響は数年にも及ぶと想定されます。

 

戦闘が始まった当初から、私たちは前線で支援を展開し、最も必要とされている場所に物資を届け、全紛争当事者に一般市民や民用物を攻撃対象としないよう呼びかけてきました。しかし、現在のニーズに応えるには、紛争当事者双方が協調して努力することが必要です。「当事者双方が互いに非難をし合っているなかで、人々の窮状は忘れ去られています」とマウラーは訴えます。「紛争の極端な二極化をあおっているのは対立です。だからこそ私は、中立かつ公平、独立という人道の観点に立った行動が重要であると強調してきたのです。」

 

マウラーは、ミンスク合意に含まれる紛争当事者間の被拘束者の交換についても歓迎したいと、加えました。私たちは、中立の立場で紛争の全当事者に支援を行ってきました。2014年9月以来、ICRCは政府が運営する収容所を訪問しており、双方で囚われている被拘束者の状況と待遇をモニターできるようアクセスの拡充に努めています。

原文は本部サイト(英語)をご覧下さい。