イエメンでのICRCの活動

2012.10.29

ICRCはイエメン行政区画の数ヵ所において、紛争や暴力の被害を受けている人々を支援しています。主な活動は、人々の自立支援、救援物資の配付、医療施設への支援、被拘束者の尊厳を尊重する処遇の促進、離散家族間の連絡手段の再構築、当局や宗教・軍の指導者との関係構築などです。

切迫した人道状況は、すでに景気の悪化や限られたインフラに苦しめられている一般市民をさらに追い詰めています。
2012年初旬以降、ICRCはイエメン北部、中部、南部での活動規模を広げてきました。同国では50名の国際救援要員を含む240名のICRC職員が、何十万という弱い立場に置かれた人々に対して支援と保護活動を行っています。
イエメン北部
サアダ 行政区画
サアダ行政区画では、散発的な衝突や北部Kitafおよび南部Hajjaの武装グループによる暴力行為が見られるものの、治安状況は比較的安定しています。同地域でICRCは次の活動を行っています。
・ 村に戻ることを希望するサアダの国内避難民に対し、収入源を支援するプロジェクトを実施。参加した避難民は今後、支援に頼らず自立した生活を送ることが可能に。
・ 配水網へのアクセスがないサアダの住民と避難中の世帯に水を供給。
・ サアダの病院および3ヵ所の医療施設に基本的な薬を提供。
北部のAmran行政区画でICRCが行っている活動は以下です。
Amran行政区画
・ 農業と獣医療に関するプログラムの実施、基本的な医療サービスの提供。
・ 首都Sana’aから北部に位置する紛争地Arhabへのアクセスが可能になったことから、家長として一家の生計を担う女性向けの融資プロジェクト、Al Awmara病院の改装、Amranの野戦病院への定期的な薬や包帯の配付などの支援活動を開始。
イエメン南部
イエメン南部は2012年上半期の激しい戦闘により、依然として非常に不安定な状況が続いています。Abyan行政区画の多くの人々は村へ戻りましたが、数千世帯がいまだ元いた場所へ戻れずにいる状況です。
同地域でのICRCの活動は次の通りです。
・ 避難民または紛争の被害を受けた人々に対し、食料、生活必需品、水、医療物資を含む緊急支援物資を配付。
・ ICRCの外科チームがAbyanのAl Razi病院およびAdenの負傷者に対応中。
被拘束者の尊厳の尊重を促進
ICRCはイエメン国内のあらゆる当局に拘束されている人々を訪問し、収容所での処遇や生活環境を監視しています。ICRCは独自の規定に則り、訪問の結果や提案を収容所当局の関係者のみと話し合い、その内容はすべて守備義務に則って、一切公けになることはありません。また、ICRCは本国への強制送還に先立ち、拘留されている移住者の支援も行っています。
離散家族間の連絡手段の再構築
ICRCとイエメン赤新月社は離散家族の再会を支援しています。イエメンの人々は赤十字通信や電話、ビデオ電話などを通してアフガニスタン、イラク、グアンタナモに拘束されている身内と連絡を取ることができます。また、イエメンに身を寄せる避難民や避難所を探している人々は、赤十字通信を通して家族と連絡を取ることができます。
関係者との関係構築
ICRCはその使命と活動に対する理解、および人道法や諸規則への尊重を促すため、すべての地域において当局や宗教・軍の指導者との連携を強化してきました。これらの連携はワークショップやセミナー、よりカジュアルなコミュニケーションを通して実現されてきました。対象者には法律の専門家や部族の指導者、ジャーナリストも含まれます。
ICRCは1962年からイエメンで活動を行っています。
詳細な記事はICRCジュネーブ本部(英語)で確認できます。