ウガンダ :太陽光パネルが命を救うとき

2015.04.02
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カトジョ収容所でサンプルを確認する看護職員のダニエル・ムタカ©J. K. Abimanyi/ICRC

 

十分な健康管理が行き届かない収容所の生活は、耐えられるものではありません。しかし、太陽光パネルがその現状に少しづつ変化をもたらしています。ウガンダや他の地域で、赤十字国際委員会(ICRC)は被拘束者の待遇環境を改善すべく力を尽くしています。

 

黄色の短パンとTシャツを着たがっしりした被拘束者は、椅子に深く腰掛け、微笑みながら、医者と所定の診察結果について話をしています。

 

ウガンダ西部のフォートポータルにあるカトジョ収容所。HIVと結核に陽性反応が出ている彼は、現在の健康状態に喜びを隠せません。「私は生きています。私には、自分の刑期を無事に終え、出所できる体力と希望があるのです」と強く述べました。今は元気に笑っていますが、彼は10カ月間結核の治療を受け続け、今後もHIVとは向き合っていかなければなりません。

 

 

太陽光の救い

他の状況であったら、彼や他の被拘束者の状態は異なっていたかもしれません。2012年までは、頻繁に停電が起こり、医療スタッフは検査を中断しなくてはならないこともありました。その結果、患者への緊急治療も数日、ましてや数週間遅れることがありました。そこで私たちは、収容所の医療センターに太陽光パネルを設置。被拘束者の健康改善の一環として行われたこの取組みが功を奏し、医療センターでの停電はなくなりました。

 

この医療センターは、収容所だけでなく周辺地域の医療も担っているため、夜間の停電は活動に影響を及ぼします。特に、分娩中に停電が起きると、大変な事態となります。

 

カトジョ医療センターの担当職員イブラヒム・ヤクブは、「検査を行い、すぐに結果が欲しいときに限って停電が起きるのです。結果を待たなければならないので、検査用のサンプルが無駄になってしまうこともあります」と話します。

 

収容所で看護職員として働くダニエル・ムタカは、「私達は毎日、HIV/AIDSのカウンセリングを行い、HIV陽性の結果が出ると、ウイルスが免疫機能にどの程度のダメージを与えているのかを測定するCD4カウントを行います」と話します。HIV陽性反応が出た患者のCD4カウントを実施することは非常に重要です。なぜなら、抗レトロウイルス薬を与えられるまでどれくらいの猶予があるのかが判明するからです。」

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看護職員のダニエル・ムタカと話すカトジョ収容所の被拘束者©J. K. Abimanyi/ICRC

 

太陽光の即時効果

「今では待つ必要がなくなりました。停電しても、私達は太陽光があるため仕事を続けられます。停電したとしても、中断しなくていいのです。顕微鏡や冷蔵庫、CD4カウント用のピマ機も動き続けます」とヤクブは語ります。太陽光のおかげで、医療スタッフは毎日50人の被拘束者と周辺地域から来る30人の患者の治療が可能となりました。

 

太陽光パネルは、ルジラやグル、カトジョ収容所でICRCの支援によって2012年に設置されました。結核やマラリア、HIVに感染している被拘束者の治療の改善が目的です。私たちは、収容所における被拘束者の待遇や生活環境の改善に取り組んでいます。2014年には、ウガンダの51の収容所に拘束されている1万3000人もの被拘束者を訪問しました。

 

収容所担当副部長でありカトジョ収容所を統括しているイノセント・マジェムは、「ICRCは太陽光パネルだけでなく、以前は女性専用診察室と呼ばれていた場所を、本格的な診察室に改築し、私たちが収容所内の医療問題に取り組めるようにしてくれました。結核患者用の隔離施設や、HIV陽性患者に行うCD4テスト用のラボまであるのです」と話します。

 

ウガンダでICRCの保護統括官を務めるカミラ・マテウッチは、「不安定な電力供給といった問題をあまり労力をかけずに解決できるなら、サービスの継続的な提供を約束することにもなります。その結果、被拘束者にもいい影響が表れるのです」と話します。

 

最初に紹介した被拘束者の現在の健康状態は、以前よりずっと良くなっています。「実際、治療を受けることができて良かったと思っています。ここに来る前は、苦痛で死に向かっていましたが、収容所の人々に助けてもらい、死なずにすんだのです」と話します。

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収容所の外にある太陽光パネルが設置された医療センターIII ©J. K. Abimanyi/ICRC

 

 原文は本部サイト(英語)をご覧ください