イエメン:医療従事者の安全が不安視されるなか、支援物資が到着
サナア/ジュネーブ(ICRC)‐ 赤十字国際委員会(ICRC)が手配した飛行機に積まれた緊急の医療物資がイエメンに到着しました。これらの物資は、激しさを増す戦闘で負傷した人々を治療するために、国内の病院に届けられます。
16.4トンもの薬や包帯、点滴、手術器具(700から1000人の重傷者を治療できるほどの量)を積んだ飛行機が、首都サナアに到着。医療施設や従事者が攻撃を受けているという報告も入っています。
「これらの物資は、負傷者の生死を左右します」とイエメンでICRCのチームを指揮するセドリック・シュバイツァーは話します。「しかし、戦闘の余波で、医療施設も損壊しているという不安な報告も入ってきています。南部の港湾都市アデンでは救急車が盗まれ、医療従事者も攻撃の対象となっていると聞いていますが、これは許し難いことです。全ての傷病者は、治療を受ける権利があり、医療従事者は攻撃の不安を感じることなく治療に専念できるようにしなくてはなりません」。
物資を積んだ飛行機は、戦闘が最も激しいアデンに5名からなる戦傷外科チームが到着したその2日後に着きました。チームは、戦闘や爆撃、戦車による発砲、空爆で負傷した人々が押し寄せている地元の病院への支援を展開していきます。
また、追加の医療物資や発電機、衛生器具を積んだ次の飛行機が数日後にサナアに到着する予定です。「少しずつ進展しており、支援を可能にしてくれたすべての関係者にお礼を申し上げます。支援物資を届けるという私たちの取り組みを、紛争の全当事者が引き続きサポートしてくれるよう期待します」とシュバイツァーは話します。
空爆や地上戦で負傷した人々を受け入れている病院では、救命に必要な薬や器具が底を尽きつつあり、イエメン人を取り巻く状況は急速に悪化しています。イエメン北部では、人々が紛争を逃れて避難しているという報告も受けています。私たちは、可能になり次第、現地の状況を精査し、必要な緊急支援を届ける準備をしています。
活動にあたっては、国内の各地でイエメン赤新月社と協力。赤新月社のボランティアは負傷者を病院に搬送するために休むことなく活動しています。しかし悲しいことに、2名のボランティアと1名の職員が活動中に命を奪われました。私たちは全当事者に、人道支援従事者を攻撃対象としないよう、訴えます。
戦争法としても知られる国際人道法は、治療が必要な人には、適切な手当てを提供しなければならないと定めています。また、軍や戦闘グループに対しては、医療の中立を尊重し、医療従事者や機器、車両が安全に通行できるよう保護することを求めています。人道支援は、必要としている人々に届けられなければならず、軍や武装グループはこれら物資の配布活動を妨げてはなりません。敵対するグループの保護下にある人々も食料や薬を受ける権利があるのです。
イエメンの人々は、長年にわたる紛争や干ばつ、情勢不安の犠牲を強いられてきました。そのため自らの足で立つ力は奪われ、この度の戦闘による人道、経済、環境の影響を大きく受けています。
私たちは、イエメン南部のアデンとタイズ、北部のサアダ、首都のサナアに事務所があり、応急処置セットや医療物資の配布し、病院の電力および給水が停止しないよう支援しています。これらの活動を通して、市民が戦闘によって受けた被害を最小限に食いとどめるべく力を尽くしています。
原文は、本部サイト(英語)をご覧ください。