コンゴ民主共和国:被拘束者の訪問

2012.08.31

コンゴ民主共和国の北キブ州と南キブ州において、政府軍と反政府グループM23運動(3月23日運動)との間で戦闘が勃発して以来、ICRCは同地域および国内で拘束されている人々への訪問活動を行っています。先日は、北キブ州Rutshuru地方でM23に拘束されている政府軍兵士を訪問しました。訪問を調整したSandrine Ducrestが詳細を語ります。

M23に拘束されている人々への訪問は今回が初めてだったのでしょうか。
はい、今回が初めてでした。武装紛争下におけるICRCの優先事項は、紛争当事者に拘束された全ての人々を訪問することです。現在の北キブ州の状況下で、紛争に関連して拘束された人々に面談できることは非常に重要です。ICRCが行う収容所訪問の目的は人道的なものです。訪問の際は被拘束者が置かれた環境や処遇を確認します。

今回の訪問目的を教えてください。
主な目的は被拘束者が人道的な処遇を受けているか確認することでした。また、拘束されているとはいえ、水や食料、医療へのアクセスなど基本的なニーズが満たされているかを確認することも目的の一つです。今回の訪問では、M23によって拘束された兵士の名簿作成、状況評価、基本的な物資供給を行いました。現在、次回の訪問に向けて調整を行っている最中です。

訪問の際はどのようなことを心掛けていますか?
被拘束者が気兼ねなく話せるよう、ICRC職員は被拘束者一人一人と個別に面会します。また職員は施設内を視察し、所見や提案を管理者に直接、内密に伝えることで、施設環境の改善につなげます。さらにICRCは、被拘束者とその家族を「赤十字通信」と呼ばれる手紙を通してつなぎます。一度の訪問だけでは必要とされる改善をすべて実現することはできません。そのため、確実に次回の訪問につなげることが訪問の際の重要事項となります。今回の訪問に関しては、まだ被拘束者と個別の面談を行い赤十字通信を書いてもらうことはできていません。

なぜ被拘束者と個別に話すことが重要なのでしょうか。
ICRCが行う全ての活動に共通することですが、この仕事で最も大切なことは人の話を聞くことです。被拘束者にとって、ICRC職員と個別に話すことのできる時間は非常に重要です。個別の面談では心配事を打ち明けたり、必要な物や普段の処遇について気兼ねなく話したり、家族に手紙を書くことができるからです。次回の訪問時には、彼らが赤十字通信を通じて家族に無事を伝えられるよう進めています。

なぜICRCは収容所訪問の結果を公開しないのですか。
訪問活動の主な目的は、担当当局のICRCに対する信頼を維持し続け、被拘束者との面会を常に可能にすることです。私たちは、状況を改善する側にある人々とオープンかつ建設的な対話を持ち続けようと努めています。全ての立場を尊重するためには、対話を内密にすることが必要不可欠です。

ICRCはどのような施設を訪問しているのでしょうか。
今年4月から6月にかけて私たちは、コンゴ民主共和国内の50カ所の収容所を90回以上に渡り訪問しました。この中には16カ所の刑務所や様々な臨時施設が含まれます。内務省、国防省、武装グループが管轄する常設の刑務所および臨時施設の訪問において、合計約1万700人の被拘束者と面会しました。コンゴ民主共和国におけるICRCの収容所訪問活動は、1960年代初頭から行われています。

コンゴ民主共和国の収容所に関する主な懸案事項はどのようなものでしょうか。
一般的に、敵対行為下で拘束された人々はリスクが高く被害を受けやすい状況に置かれています。

常設の刑務所を訪問した際に私たちが優先的に行う任務は、被拘束者の健康状態の確認です。ICRCの健康、水、衛生の専門家が、訪問中に明らかになった問題の解決に向けて当局と話し合います。例えば今年4月から6月にかけて、ICRCはコンゴ民主共和国内7カ所の収容所において3,100人の被拘束者に日々の食事を提供しました。被拘束者が適切な環境で生活できるよう、私たちは可能な限り管理当局を支援します。

臨時施設の場合は、被拘束者が威厳ある人道的な処遇を受けているかという点を重点的に確認します。

 詳細な記事はICRCジュネーブ本部(英語)で確認できます。