拷問を終わらせるために今すぐ行動を

2015.06.26

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6 26日は「拷問の犠牲者を支援する国際デー」でしたが、耐え難い拷問が未だ人々を苦しめています。拷問は、国際法違反です。

 

拷問は人類に対する侮辱行為であり、虐待された本人だけでなく、その家族にも苦痛をもたらし、家庭崩壊にまで発展させます。違法で、不道徳で、非人道的なその行為は、決して許されるものではありません。

 

拷問は気づかないうちに、負の連鎖を社会全体に蔓延させます。虐待が嫌悪を生み出し、復讐のサイクルを引き起こすのです。

 

私たちは、残酷な、非人道的なまたは品位を汚す処遇や拷問が広がるこの社会を恥ずべきです。この現象から完全に抜け出せた国はありません。

 

国際法で完全に禁止したり、人道支援組織などの国際社会が撲滅に向け努力を重ねていますが、拷問のない社会には程遠いのが現状です。

 

赤十字国際委員会(ICRC)は収容所を訪問し、拷問や虐待が起きないよう働きかけています。2014年には、92カ国で80万以上の被拘束者を訪問。その多くが拷問のリスクに直面していました。私たちは、被拘束者の生活環境や処遇、法的保障の意識を改善するために、関係当局と非公式の対話を行っています。また私たちは、自国から避難を余儀なくされた拷問の被害者を国際的に保護するよう呼びかけ、拷問の恐れがある場合は強制送還しないよう働きかけています。

 

私たちは世界の158カ国が拷問禁止条約に署名し、批准したことを歓迎します。しかし、この条約の実行に向けては、まだ課題が山積みです。それぞれの条項が、各国の法律や慣習に転化されない限り、綺麗ごとで終わってしまいます。

 

国は、拷問する人々を起訴し、罰しなくてはなりません。また、拷問や虐待に苦しむ人々への治療や賠償に関する具体的な規定を設け、身体・精神・社会的なリハビリをサポートする具体策を講じる必要があります。

 

全ての拷問被害者のために、権力や影響力を持つ人々、また実際に拷問をしている人々は、これを最後に拷問を止める努力をしなくてはなりません。

 

赤十字国際委員会 総裁 ペーター・マウラー

原文は 本部サイト(英語)をご覧ください