アルメニア:家族が生きていた証に木を植える
行方不明者の家族が、先日アルマヴィルの中央公園に集まり、愛する家族に思いを馳せながらトネリコの木を植えました。アルマヴィル地方では、アルメニアと隣国アゼルバイジャン間で起きたナゴルノ・カラバフ戦争によって、41名の方が1990年代初頭に行方不明になりました。この行事は、墓標はもちろん、家族が参詣できる銘板さえない行方不明者に捧げるものでした。
「夫が生きていれば、今日で67歳です」とSvetlana Melkonyanさん。「自然が好きだったから、今日の植樹イベントがたまたま彼の誕生日と重なって、とても嬉しいわ。女手ひとつで二人の子どもを育て上げるのは、とても大変でした。今日は孫と一緒に来ています。おじいちゃんのために植えられた木に、孫が水をやっているのです」。
Karine Zaderyanさんは30歳のときに、夫が行方不明になり、4人の子どもたちと後に残されました。「失ったものは大きいです。私たちの傷を癒してくれるものはありません」と話すZaderyanさん。「23年経った今、私たちが植えている木は夫の思い出を甦らせてくれます。この公園は町の中心にあって、教会の隣です。木が大きく育ったら、孫をここに連れてきて、『ほら、これがおじいちゃんの木ですよ』と教えてあげたいです」。
行方不明者の記憶をとどめておくために木を植えようと発案したのは、彼らの家族でした。そして、アルメニア赤十字社や赤十字国際委員会(ICRC)、地元当局がその取組を後押ししています。アルマヴィル町内会は公園内に、植樹のための区画を作りました。若木が育てば、この場所は行方不明者の家族にとって特別な場所になるでしょう。一本一本の木が、一人一人の行方不明者の象徴となっているのです。
「私たちにとって、彼の名前をどこかに残しておくのは、とても大切なことなのです。公園を訪れて、ここに腰を下ろし、夫のことを思い出すのです。この植樹に協力してくださった皆様に感謝しています」と、Gayane Vardanyan さんは話します。彼女の夫は、1992年に行方が分からなくなりました。
同様の行事が、アルメニア中西部のアララト地方、ヴェディとマシスの町でも行われました。
ICRCのプロジェクトの一環として、行方不明者の親族に関係する様々な記念行事が、アルメニア各地で催されました。このイベントは、アルメニア赤十字社と地域のNGO、地元当局と共同で開催したものです。
原文は本部サイト(英語)をご覧ください。