南スーダン:人々に手を差し伸べるということ

2015.08.18

 

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現場で活動するアヤシャと同僚©ICRC

 

へび。サソリ。危険な飲み水。赤十字国際委員会(ICRC)のフィールド要員であるアヤシャ・ミコットが南スーダンの人里離れた村を訪問する際には、常にこのような危険と隣り合わせです。

 

南スーダンへの派遣は、自ら希望し、叶えたものです。何かにチャレンジしたかったから。

 

ベルギー出身32歳のフィールド要員は村々を渡り歩きます。彼女が持っているのは、寝るためのテントと外部との連絡用の衛星携帯の二つのみ。

 

アヤシャは南スーダンの東にある小さな村々に自分が配属されたことを、「戦略的に練られた有事に備えるための支援活動」と呼んでいます。彼女のチームが訪れるのは、外部に対する警戒心が強い村です。そこではまずコミュニティへの支援を通して住民との関係を築き、徐々に国際人道法や応急処置に関する啓発へと移行していきます。

 

彼女が支援するムルレ族は背が高く、細くて壮健で、あまり財産を持っていません。

「ICRCのヘリコプターが到着すると、村の半分の人が姿を現します」とアヤシャは話します。

「女なのに男のような恰好をして歩く私を、おかしな人だと思い、女性の方たちは慕ってくれます」。

 

アヤシャがICRCで働こうと思ったきっかけは、多岐に渡る活動内容に魅かれたからです。フィールド要員として、地元当局や武装勢力と話し合いの場を持ちます。食物を育てるための種子を配ったりや家畜にワクチンを接種するのも彼女の仕事です。最近では、負傷者を治療している国境なき医師団(MSF)や南スーダン赤十字社ボランティア25名による病院での活動を調整したり、離散した家族の再会や連絡回復にも取り組んでいます。

 

「この仕事の魅力は、人々が直面する現実を直視し、自分にとってどのような意味があるのか考えるきっかけとなることです」と話すアヤシャ。南スーダンで得た経験やこれからの課題を語ってくれました。「地元当局と武装勢力の双方と話し合うんです。国のダイナミクスがよく分かります」。

 

ICRCの南スーダンでの活動規模は、シリアに次いで2番目に大きいものです。戦闘が勃発した2013年12月以降、私たちは活動規模を拡充して支援にあたっています。これまでに100万人以上に食料を届け、15の医療施設で5500件以上の手術を実施。43万人以上に作物を育てるための種子や農作業に必要な道具を配り、60万頭もの家畜にワクチンを接種しました。

 

                                                                       取材:ジェイソン・ストラジウス、ICRC職員

原文は 本部サイト(英語)をご覧ください。