シリア:紛争の道具となる水
2015.09.02
シリア北部のアレッポでは、意図的な断水や停電の影響で多くの市民が犠牲を強いられています。アレッポの200万の住民には、清潔な水へのアクセスがほとんどありません。
「給水などの人々が生きるために必要なサービスを紛争の道具に使うべきではありません」とシリアにある赤十字国際委員会(ICRC)代表部で首席代表を務めるマリアン・ガセールは話します。最近アレッポを訪問したガセールは、当局と協議し、紛争の最前線に入って当事者双方と水の問題について話し合いました。
アレッポでは、ポンプ場と発電所がいずれも異なる紛争当事者の管轄下にあるため、水の供給が影響を受けています。敵対する相手を脅かすために、管理している施設の運転を停止させることがあるからです。「水はこれまでも紛争当事者の格好の争いの道具となってきました。ここでも一番苦しむのは一般市民です。水へのアクセスが妨げられてはなりません」とガセールは続けます。
首都ダマスカスでも似たようなことが起きています。意図的に断水して、敵対する相手側を脅かすのです。5年にもおよぶ戦闘で、国内の水インフラは非常に大きな損害を被っています。給水に必要なインフラの半分以上が損壊あるいは破壊されています。
私たちは、シリア・アラブ赤新月社と協力して、地元の水委員会と共に水の供給を維持するためにシリア全土であらゆる取組みを行っています。例えばアレッポでは、紛争の最前線で、給水システムの代わりとなる井戸(ボアホール)を掘りました。2015年1月から6月にかけて、私たちの水プロジェクトによって1600万人に水が行き渡りました。
原文は、本部サイト(英語)をご覧ください。