シリア:冬の到来で悪化の一途を辿る人道状況
赤十字国際委員会(ICRC)の中近東担当事業局長であるロバート・マルディニが、冬の訪れを前に人道状況の悪化が懸念されるシリアの現状に警鐘を鳴らしています。
気温が氷点下まで下がるなか、何十万もの人々が、限られた燃料や資源でこの状況を乗り越えようとしています。5年近くにもおよぶ紛争は、シリアのインフラを破壊・崩壊しました。
「この国の人道を取り巻く状況は壊滅的で、日を追うごとに悪化しています。これから厳しい冬を迎えますが、燃料になるような資源はほとんど残されていません。私たちは、必要とされている支援を確実に届けるために、人々へのアクセスの確保が必要だと訴えています。多くのシリア人は切迫した状況のなかで生活しているのです」とマルディニは話します。
緊急人道支援を必要としているシリア人は1200万にのぼり、そのうち550万人は子どもです。400万人以上が海外への避難を余儀なくされ、約800万人は国内避難民となりました。多くの人が数回に及ぶ避難を経験しています。
「ヨルダンやレバノンなど周辺国に逃れた人々も厳しい暮らしを強いられていて、気温低下に伴い暖を取れるような場所や燃料を求めています。明日の暮らしの目途がたたず、将来故郷に帰れるのかさえはっきりとしません」とマルディニは続けます。
ICRCは、シリアの状況を少しでも改善しようと多岐に渡る活動を展開。生後6カ月から9歳までの子ども30万人に冬用の衣料を配付しました。共同シェルターや避難民を受け入れている各地の生活状況を改善するために、様々な取り組みを行っています。
今年の初めから、シリア・アラブ赤新月社と協力して届けた食料は700万人以上に行き渡りました。各地で実施した給水プログラムによって、安全な水にアクセスできるようになったのは1500万人以上に上ります。
原文は、本部サイト(英語)をご覧ください。