シリア:アレッポと周辺地域の9万人以上に緊急支援

2014.06.17

長引く戦闘で水や食料、医薬品は不足しており、アレッポ市とその周辺の何万もの住民と避難民は犠牲を強いられています。この数週間、赤十字国際委員会(ICRC)はシリア・アラブ赤新月社と協力して、不足している医療物資とその他の支援を紛争の最前線で届けました。


5月19日にICRCは正式な許可を受けて、東部アレッポ郊外の6万人とアルバブやマンビジの3万人に食料やその他の必需品を配付しました。ICRCは9カ月もの間、反政府勢力が占拠している地域への支援ができずにいたため、これらの地域での活動許可を得ることができたのは、大きな一歩といえます。

また私たちは医療物資も届け、これによりアレッポ全域の病院が、武器やその他の理由で負傷した800人の患者を治療できるようになりました。ICRCは6月9日、アレッポの中でも政府軍が占拠している地域に構えている2つの病院に、医療物資を提供しました。 同日、シリア・アラブ赤新月社は、同じアレッポでも反政府勢力が占拠している2つ病院に、徒歩で医療物資を届けました。この病院には、患者が絶え間なく押し寄せています。

アレッポ住民に安全な水を提供することは、私たちの優先課題です。同市では4月から、数百万もの人々が幾度も飲料水を断たれ、危機的な状況にありました。安全な水へのアクセスが中期的に改善されることを目指し、ICRCとシリア・アラブ赤新月社は、水道委員会と協働で、損傷したインフラの修復にとりかかっています。ここ数週間で、アレッポ水道委員会に発電機や給水ポンプ、汚染除去用品、給水器を提供しました。また、アレッポ中央収容所から移送された被拘束者たちの臨時居住施設の配管網を改修し、トイレや蛇口、給水ポンプを設置しました。

アレッポ地域における緊急援助の公平な実施も、ICRCにとって引き続き優先事項です。私たちはいま一度、国際人道法の遵守を全紛争当事者に呼び掛けます。一般市民の生命を脅かすことなく、人道支援従事者が円滑に活動できるようにしなくてはなりません。

 

■緊急援助

5月に次の11地域において、45万5000以上の人々に食料を配付しました:ダマスカス、ダマスカス郊外、ダルアー、クネイトラ、スワイダー、ホムス、ハマー、タルトゥース、ラタキア、アレッポ、イドリブ。支援を受けた人々の多くは、国内避難民となったシリア人です。ホムスとダマスカスにある避難所で生活する6000人近くには、ICRCが提供した集団キッチンで用意した食事が、シリア・アラブ赤新月社の支援によって配られました。戦闘により避難を余儀なくされている8万人が、衛生用品や毛布、寝具、タオル、水汲バケツ、充電式懐中電灯、ろうそく、調理器具、その他日用品を受け取りました。

■安全な水と公衆衛生

5月からICRCは、以下の支援を行うために、シリア・アラブ赤新月社並びに地元の水道委員会と協力しています。

• ホムスやダマスカス郊外、デイルエッズルの10万人以上のためにトラックで水を運搬。
• 10万人の衛生状態を改善するために、イドリブ市でごみの廃棄処分を支援。
• ダマスカスやダルアー、ホムス、ラッカ、アレッポ、ラタキアの27の都市部で暮らす3万9000もの人々に安全な水や適切な衛生施設、住居を提供。
• 12万人分の水をまかなえるダマスカス郊外モアダミヤ・アル・カラモウンの貯水池の修復。
• ダマスカスのアル・ラブウェにおける水道事業に技術支援と資材を提供。これによりジェイデ・アル・ファデルやモアダミヤ、ジェイデ・アルトゥース、アルトゥース、ユーセフ・アル・アズメ、3月8日広場、ダラヤ、 アシュラフィエ・サハナヤ、サハナヤに住む50万人が水の利用が可能に。
• 計4万人以上に給水しているラッカ市の浄水場並びにアレッポの浄水場内にある変圧器の修復。
• アレッポ市のアル・ムハラクやアル・サビル、アル・ショルタなどに発電機10基を設置。

■医療

ICRCは5月よりシリア・アラブ赤新月社と連携し、以下の支援を行っています。

• アル・ラジやアル・ダカク、アル・ザルズルの病院並びにアレッポ市内の軍事病院に入院している患者800名の治療に必要な医療品の提供。
• シリア・アラブ赤新月社の巡回保健衛生ユニット7つと外来診療施設への資金援助と物資の提供。これらの施設は合わせて毎月7000人以上を診察しています。

■追跡調査とその他の支援

5月以降:

• 有効な身分証明書を持たない9人に対し、シリア当局や国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と協力して、シリア国外に再定住できる臨時旅券を発行しました。
• ダマスカスのICRC代表部は、身内の安否を気遣う家族から115件の追跡調査依頼を受け付けました。
• 1通の赤十字通信と、主に国外のシリア人から届いた15の口頭メッセージを届けました。

シリアは、ICRCの活動規模が最も大きい国です。240名以上の職員がダマスカスやアレッポ、タルトゥースの代表部で活動しています。食料や生活必需品の配付、安全な水の供給、給水網の修復支援、紛争による離散家族の再会支援を行っています。