ICRCのイエメンでの活動:よくいただく質問について

イエメン
2025.08.25

ICRC activity in Yemen

ICRCは1962年から、イエメン赤新月社と協力してイエメンにおける支援活動を行ってきました。イエメン国内の脆弱なコミュニティーの医療支援、水、衛生環境などの改善に焦点を当て、人びとの経済的自立支援、被拘束者の解放、爆発性戦争残存物の除去などのプロジェクトを無償で行っています。

紛争の影響下にある人びとからよくいただく質問

なぜICRCは被害を受けたすべての家族に現金給付と現物支給をおこなわないのですか?

多くのイエメンの人びとが困難な人道状況に直面していることを理解しています。広範かつ多様なニーズのなかで、私たちは最も緊急を要するものへの対応に努めています。限られた手段と資源のため、その膨大なニーズすべてをカバーすることはできません。

長年にわたる武力紛争や暴力、経済的困窮によって人びとは疲弊し、必要なサービスの提供は限界に達しています。人道状況は悪化の一途をたどり、人口の70%が人道援助なしに生活を送れず、80%超が最低限の生活を営むため必要な所得の水準以下(2023年の数値)の生活を余儀なくされています。私たちの最優先課題は、引き続き、最も影響を受けたコミュニティーの支援です。

ICRCは地雷で負傷した人を助けていますか?

紛争地帯から来た障がい者に質の高いサービスを提供できるよう、政府系の5つのリハビリセンターに、資材や部品、設備、インフラの整備、継続的な技術指導などの重要な支援を提供しています。

さらに、ICRCは義肢装具の専門的なトレーニングを提供したり、リハビリセンターのサービス強化のため必要な知識の伝達やメンターによる指導を提供したりすることで、職員の能力向上において重要な役割を果たしています。

ICRCの仲介によって釈放された元被拘束者に対して、どのようなサポートをおこなっていますか?

ICRCの役割は純粋に人道支援の部分になります。イエメンにおけるICRCの活動は、安全で尊厳のある解放と帰国を確実なものにするための、解放プロジェクトのロジスティック計画の支援に限定されています。また帰国支援を円滑にするため、一時的な現金支援も行っています。

ICRCは中立的な仲介者として被拘束者の解放や帰国を促進しますが、補償に関する全責任はICRCではなく、国家にあります。

私たちは、家族の再会支援事業をとおし、被拘束者への個別フォローアップを確実に行っています。元被拘束者の釈放後も再度連絡をとり、社会復帰後の状況を確認しています。また、必要に応じて、支援対象の医療施設やその他専門機関の担当者を紹介しています。

拘束していた当局が発行する解放証明書に加え、私たちは被拘束者が給与、年金、公共サービスを利用できるよう、拘禁証明書の発行も可能です。

ICRCはイエメンから他国への移住を支援していますか?

残念ながら、私たちは個人や団体がイエメン出国の支援や、移住に必要な資金援助を行う能力や財源を持ちあわせていません。移住サポートは現在の私たちの能力を超えています。

ICRCはイエメン赤新月社とどのように協力していますか?

イエメン赤新月社(YRCS)とICRCは、世界最大の人道支援ネットワークである赤十字運動のメンバーです。私たちはイエメン赤新月社と協力して紛争の影響を受けた人びとへの人道支援をとおし、共にイエメンの脆弱なコミュニティーの最も緊急性の高いニーズに応えています。

ICRCはイエメン赤新月社に対し、必要な訓練と機材提供によるボランティアの能力開発を支援しています。この取り組みの一環として、応急手当や災害管理、緊急対応などの分野におけるボランティアの訓練の他、救急車や医療器具などの必要な機材の提供も行っています。このパートナーシップにより、紛争や災害の影響を受けた人びとに対しボランティアが必要な支援を提供することができ、イエメンの人道状況の改善に貢献しています。

ICRCは手術を必要とする人を助けていますか?

イエメンの多くの人びとが困難な状況にあることをよく理解しています。ICRCは医療分野で個別の支援提供はできませんが、できるだけ多くの人びとを助けることができるよう、医療システムの強化に力を入れています。

私たちはこれまで、イエメン全土で一次医療施設も含む49を超える医療施設を支援しました。また、糖尿病患者用のインスリンを、5つのリハビリセンターへ定期的に提供しています。これらの活動は保健省との緊密な連携のもと、おこなわれています。

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