ミンダットにおいてミャンマー赤十字社とともに支援活動を実施~「やらなければならないことはまだたくさんあります」
定職に着けず、育ち盛りの子供たちを養えない労働者とその家族。他人をかくまいながら、自分は生きるためには毎月服用しなければならない心臓病の薬を手に入れることができない司祭。家族と離ればなれになったため、自力で米袋を家まで運ばざるを得ない少女。
ミャンマー(ICRC)―これらは、先月、ミャンマー北西部チン州ミンダットにおいて、ミャンマー赤十字社とともに支援活動にあたったICRCのスタッフが目撃した光景のほんの一部です。
暴力の被害を受けた数千の人々に緊急支援を行うために、市街地で3週間にわたり活動する中、多くの障害に見舞われました。
ICRCの職員、チョー・ミン・トゥンさんは、「大雨で崩落した橋の修繕に2週間もかかったんです。それが、ようやく渡れるになった矢先に、爆発が起きて再び損壊し、さらに現地入りが遅れました」と語ります。
ミンダットにたどり着くと、そこはまるでゴーストタウンのようでした。かつては賑やかだった通りには、今は誰もいません。赤十字のスタッフは、かつては、チン州の別の地域に援助物資を届ける途中に、ミンダットに立ち寄ることもありました。
「お土産に品物や衣服を買ったり、お茶を飲んだり、いつも人でにぎわっている美しい市場を訪れたりしていました。それが今や、街は静まり返っています」と語るのは、ICRCの職員、チョー・サン・ウェイさん。建物のドアは閉まり、鍵がかけられていて、営業しているのは数軒の店や業者だけです。米が不足していて、薬も手に入りません。生計を得るための商売や農業、労働は中断しています。
数字が状況を物語っています。約1万の人々がミンダットの戦闘から逃れ、都市周辺や近郊の村に隠れていると考えられています。さらに数千人が近郊のマグウェやサガイン地域に逃れました。戒厳令が敷かれたミンダットの市内には、推定6,000人が残っていて、修道院や教会に避難している人もいます。
今回の訪問では、およそ900人に食料や防水シート、毛布、衛生キットなどの緊急支援を提供しました。また、ミャンマー赤十字社のスタッフが、現金支援に加えて、移動診療サービスを通じて、47の村で2,300人の患者の診療にあたりました。
「ミンダットの人々は、同時にいくつもの困難に直面しています。私たちは、すべての武器携帯者に対して、敵対行為に参加していない人々に暴力の影響が及ぶことを制限するために、あらゆる手段を講じるよう求めます」と、ICRCの中央ミャンマー事業を担当する、オリビエ・ドリゲルは語ります。
ミンダット周辺の地域では何千もの人々が、さらにチン州全体では、戦闘が西部に拡大していく中、何万もの人々が未だ支援を必要としていることから、やらなければならないことはまだたくさんあります。
まだ支援を提供できていない人たちのために、ミンダットに戻る準備がすでに始まっています。こうした重要な人道支援活動を継続するためには、特に市外地において容易かつ持続的にアクセスできるようにしなければなりません。