イスラエルとパレスチナ被占領地:偽装された遺体回収に関するICRCの見解

イスラエル・パレスチナ
2025.10.31
flag, ICRC, emblem

©ICRC

ガザでの遺体回収にまつわる映像について、赤十字国際委員会(ICRC)の公式見解をこちらで述べます。

ハマスの要請により、ICRCは紛争当事者間の中立的な仲介者として与えられた役割を全うすべく、遺体回収に立ち会うことにしました。立ち合いについてはイスラエル当局にも通知され、完全な透明性をもって実施されました。ICRCの同僚たちは、映像の中にあるように、自分たちの到着前に遺体が埋められていたことは知りませんでした。通常であれば、遺体の発掘作業は、中立的な仲介者としての私たちの役割には含まれません。同僚たちは、その状況に至る経緯を事前に知らされることなく、遺体の回収と思われる行為を見ていただけです。

合意の履行が非常に重要な局面で、遺体回収が偽装されたことは残念でなりません。かけがえのない身内の安否を案じる家族の気持ちを思うと、とても受け入れられることではありません。ガザでの活動は一筋縄ではいかず、同僚たちは常にプレッシャーと闘いながら、究極的に不安定で困難が伴う環境の中で誠心誠意を尽くして仕事をしています。そうした複雑な状況下で、回収現場にいた同僚たちが介入できる余地はありませんでした。

ICRCは、当事者たちに直接懸念を伝えています。国際人道法上の義務や法医学的基準を遵守しながら尊厳を持って遺体を取り扱うよう、私たちは改めて緊急要請をおこないます。家族の元へ遺体を返す行為を政治化することはあってはなりません。ICRCはまた、当事者に対して、停戦合意の履行と遺体返還の実施促進を改めて訴えます。

私たちは、すべての関係者の協力があって初めて、その責任を果たすことができるのです。

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