ミャンマー:仕立屋の少女の物語
ミャンマー西部ラカイン州のとある村で生まれ育ったモー・モー・ヌエさんは、幼いころに母親を亡くし、それ以来一家の大黒柱として、障害を持つ父親と弟の面倒を見てきました。
そんなモー・モーの将来の夢は、教師となって、地元コミュニティーの子どもたちに教育を施すことでした。
それこそが私の運命だと信じてきました。他の地域の教師にここまで来てもらうのは難しいので、この地域の子どもたちに自分で教えたいと思ったのです。
モー・モー・ヌエさん
“レンガ工場の作業員として働いていたモー・モーの置かれた状況は、戦闘が始まったことで一変しました。武力衝突が激化する中、他の多くの人と同様に、夢は頓挫しました。”
「親戚の家に避難していたときに、太ももに銃弾を受けたのです」と語るモー・モー。足を切断することを余儀なくされ、その後、家族とともにラカイン州の州都シットウェにある僧院に身を寄せましたが、「働いてお金を稼ぐことができなくなったため、生計を立てるのに苦労しました」。
赤十字国際委員会(ICRC)が支援する、シットウェの矯正装具工場で義足を作ってもらったことをきっかけに、モー・モーの置かれた状況は変わり始めました。モー・モーはそれ以来、ICRCが経済自立支援事業の一環として行っている、縫製技術習得のためのコースを受講しています。そして、「縫製を習うのは初めてですが、これを仕事にすれば、自宅で作業をして、生計を立てられそうです」と今や新たな希望に胸を膨らませています。
日々困難に直面しながらも、モー・モーは、決してめげることなく立ち向かい続けます。
以前のように働くことはできませんが、村に戻って、小さな雑貨屋さんと仕立屋さんを開きたいと考えています。
モー・モー・ヌエさん
これは、モー・モー・ヌエという一少女の物語です。しかし、決して特別な話ではありません。ICRCは、ミャンマー全域で、同じような問題に直面しているすべてのコミュニティーの人々に手を差し伸べ続けています。