イエメン:隠れた戦争の犠牲、数千もの透析患者に生命の危機

2018.02.09

イエメンの首都サナアにある、アル・ジョウモウリ(Al-Joumhouri)病院で透析治療を受ける腎不全に苦しむ人たち

 

赤十字国際委員会(ICRC)は、イエメンに今ある人工透析センターに、より多くの備品、そして医療スタッフへの給与資金を調達しない限り、腎不全に苦しむ数千ものイエメン人たちが命を落とす危険があると報告します。

 

同国の紛争は、国のインフラ機能を荒廃させ、最近のコレラ危機のように破滅的状況に国内社会を陥れています。しかし、保健医療分野への被害があまりにも大きいため、慢性的な疾患を抱えている患者は救命に必要な治療を受けることができません。

 

紛争が始まった2015年以降、同国の透析患者のうち、驚くことに25%にあたる患者が毎年命を落としています。4,400人いる腎不全患者の死亡率を更に悪化させないためにも、より多くの透析関連製品、透析装置、そしてスタッフへの給与資金が緊急に必要とされています。

 

「透析患者の差し迫ったニーズは、紛争が如何にイエメンの保健医療システムを破壊したかを物語っています。長期的な健康不安を抱える多くの人たちに悪影響を与えています」と、同国ICRC代表部のアレクサンドル・ファイテ首席代表は述べます。

 

透析センターまでの道のりは、しばしば、検問と不安をめぐる長い旅になります。42歳のアニス・サレハ・アブダラは、イエメン南端の都市アデンのアル・ジョウモリア(Al Joumhouria)病院にある透析センターに週2回通うため、イエメン南部のラヒジュ県にある彼の家から250㎞の距離を行かなくてはなりません。

 

「この道のりはお金がかかるだけでなく、長くて苦しいです。道のりに耐えるには、私の身体は弱りすぎています」とアブダラは語ります。事実、旅に伴う危険性も高いため、治療に行くことを何回かあきらめざるを得ませんでした。

 

戦争前は32あった透析センターのうち、4つは閉鎖されました。残り28カ所は、壊れた機械や備品不足、職員への未払い給与を抱えながらも、運営を続けようと懸命に努力しています。通常、患者は週に3回、4時間の治療が必要になりますが、イエメンの脆弱な状況下では、治療を2回に減らさざるを得なくなっています。

 

「毎週の透析治療を減らすことは副作用の悪化を引き起こし、生活の質を下げる原因になります。透析治療がなくなれば行く末は致命的です」とファイテは語ります。「まだ機能している透析センターでの治療を可能にし、腎不全の患者が求める切実なニーズに応えるため、イエメン地元当局に緊急支援が入ることが重要です。」

 

ICRCは、サナア、アデン、シャブワ、マーウィット、ハジャの5つの人工透析センターをイエメンで支援しています。

 

原文は本部サイト(英語)をご覧ください。