国際社会の関心が薄れる中、イエメンにおける窮状が深刻化 ~人道支援を必要とする国民は3人に2人

イエメン
2022.03.23

©ICRC

西部タイズやマリブ、アルバイダ、フダイダ、シャブワ、アルジャウフ、ハッジャで激しい戦闘が続く中、イエメン各地ですでに避難生活を送っている330万人以上に加えて、2021年だけで新たに15万7,500人以上が避難民となりました。

弱い立場に置かれた何千もの家族が、経済的に不安定なことなどから、こうした地域に留まることを余儀なくされています。激しい戦闘が行われている前線で、日々危険と隣り合わせで暮らしています。そうした危険には、必要不可欠なものすべての入手が深刻なまでに制限されていることも含まれます。イエメンで最も長期に渡り戦場となってきたタイズで暮らし続けている人々は、2015年に紛争が始まって以来、長引く紛争の矢面に立たされてきました。暴力の応酬が続く中、避難することもかなわず、疲弊しきっています。

「衝突や砲撃、爆発の音が常に背後で聞こえています。家の壁は頻繁に砲撃を受けています」と語るのは、タイズ市北部で暮らす40歳の未亡人で、3児の母親でもあるマジダさん。
©Taha Saleh/ Wagdi Almaqtari/ICRC

「娘たちは定期的な診察を受けることが不可欠です。最寄りの病院に連れて行くには、交通費を余分に支払わなければなりません。運転手が身の安全のため、近所に来たがらないからです」と続けるマジダ。
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すでに1,620万人以上が食料不足に脅かされているこの国の中でも、戦闘の影響を強く受け続けているタイズやその周辺地域では、食料や水のニーズが危険なほど深刻化し、急を要するものとなっています。ウクライナでの紛争の激化により、世界中で燃料価格が上昇しているだけでなく、食料価格、特に穀物価格も上昇する可能性が高まっていることから、人々の基本的なニーズを満たすのがさらに難しくなる懸念があります。すでに過去1年の間に、イエメン各地で食料価格が高騰し、国民の半数以上が食料支援を必要としています。

また、こうした地域では、基本的な医療など、その他の必要不可欠なニーズへのアクセスが、深刻なまでに制限されています。医療を受けることなど、もはや贅沢でしかありません。イエメンの総人口3,050万人のうち、2,010万人は基本的な医療を受けることができず、同国内で機能している医療施設は約半数に過ぎません。

「近所に砲弾が落ちると、子どもたちは必死に服にしがみついてきて叫びます。衝突や砲撃が日常となった地域で7年暮らしている間に、多くの人々が正気を保てなくなってきました」と語るのは、タイズ市北部で暮らす60歳の祖母、オム・サイードさん。
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「私たちが何よりも望んでいるのは、小麦粉の袋と毛布を手に入れることです」と補足するオム・サイード。
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タイズの前線に位置する地区では、衝突や砲撃が続く中、住民、特に子どもたちの間で心の問題が広まっています。

地雷などの不発弾の存在は、イエメン各地で人々に大きな脅威をもたらしていますが、特にイエメン西海岸や戦略港フダイダ付近、タイズ州、最近ではマリブ周辺での汚染が深刻です。報告によると、イエメン全土で100万個以上の地雷などの不発弾が散在し、民間人が日常的に死傷しています。

同国の人道ニーズは依然として高く、現在、国民の3人に2人が人道支援を必要としています。

人道ニーズは深刻さを増す一方です。現在、急を要する状況に陥っている人の数は、昨年より27%増加し、1,430万人に上ります。

ICRCイエメン代表部カタリーナ・リッツ首席代表。

リスクが高まる中、ICRCは国際社会に対応の強化を要請します。2021年のイエメンのためのハイレベル誓約会議で発表された目標額は、約17億ドル(約2,046億円)で、2020年の人道支援計画に対する拠出総額より減少し、2019年に開催された誓約会議での誓約額から10億ドル(約1,204億円)の削減となりました。ICRCは国際社会に対し、イエメンの人々が食料や医療、飲み水、保護などの面でより良い支援を受けられるよう、ICRCなどの人道支援組織への資金提供を継続するよう要請します。