イエメン・サウジアラビア:4日間で970人以上の被拘束者が故郷に帰還、喜びに沸く現地の様子
イエメン紛争関連で捕らわれた970人以上の同時解放に伴い、赤十字国際委員会(ICRC)が主にロジ面で支援。帰還も無事終わり、暴力で荒廃した地域で暮らす人々に喜びと希望をもたらしました。
ICRCは、2023年4月14‐17日の4日間、拘束されていた人々が家族や愛する人のもとへ安全に戻れるよう尽力。イエメンとサウジアラビアの複数の空港にチームを派遣し、被拘束者の解放と移送をロジ面からサポートしました。
家族との再会を目の当たりにした同僚は、幸福と感動に包まれた素晴らしい瞬間だった、と報告してくれました。イエメン南部アデンの空港にいたICRC報道官のファティマ・サトールは、「喜びと興奮に満ちあふれた現場の様子は、言葉では語りつくせません。数年ぶりに再会し、愛する人と言葉を交わせた瞬間のとてつもない喜びには、どんな言葉も追いつかないのです」と話します。
解放されたヤセルさんは、約一年ぶりに母親と電話で話すことができました。「お母さん!今、空港にいるよ。これから30分以内に飛行機に乗ってサヌアに帰るよ!」と興奮を抑えきれません。
サウジアラビア南西部アブハからイエメン西部にある首都サヌアへ向かう最初の便が飛び立つと、解放された人々は喜びを分かち合い、今後の予定や再会を待ちわびる家族について話していました。「一刻も早く、祖国イエメンの大地にキスをしたいです。ただいま!と言いたいです」と語るのは、5年にわたり拘束されていたフサインさん。「イエメンは、私を大切にしてくれる母のような存在です。母国にいるみんなのことが恋しい」。
「まずは身体の治療に専念して、いずれは結婚したいです」と、隣に座っていたモハマドさんは、自分の健康と将来の夢を語りました。「6年も拘束されていたんです。故郷のイエメンで今すぐ家族に会いたい。誰よりも母が恋しいです。父や兄弟にも早く会いたい」。
今回、イエメン赤新月社(YRCS)とサウジアラビア赤新月社(SRCA)の医療スタッフやボランティアもまた、被拘束者を支援するにあたり重要な役割を果たしました。6つの空港で待機し、搭乗時や到着時に身体に障がいを抱えた人を手助けする他、応急処置や救急車の手配も行いました。
「今回の解放は、拘束されていた人たちとその家族だけに恩恵をもたらす訳ではありません」と話すのは、ICRC中東局長のファブリツィオ・カルボーニ。数百万に上る人々が希望を見いだせただろう、と言います。「イエメンのより良い未来、暴力が再燃することのない未来に向けて、希望をもたらすものでもあります。解放と帰還が今回実現したように、疲弊した人々に一時的にでも安息の時を提供する機会をこれからも支援すべきです。ただ、最終的にイエメンの人々の苦悩に終止符を打つのは、政治的解決をおいてほかにはありません」。
今回の解放・帰還は、ICRCと国連事務総長イエメン特使事務所が共同議長を務め、2023年3月20日に閉会したスイスのベルンでの協議の成果として実現しました。