COP26に向けて世界のリーダーへ5つのお願い ― 人類の生存は私たちの今後の行動次第。いまからでも間に合います! ―

お知らせ
2021.11.02

©ICRC

国連の気候変動対策の会議「COP26」に先立ち、国際赤十字・赤新月運動(以下、赤十字運動)が「コロナ禍および気候変動下における地域支援」に関するサミットを開催。最終日には、国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)と赤十字国際委員会(ICRC)の両トップが、共同声明を発表しました。

今日、新型コロナウイルス感染症の蔓延と気候危機は、心身の健康から暮らし、経済にまで、私たちの日常や社会のあらゆる側面に影響を及ぼしています。特に、気候危機の原因を生み出していないはずの、最も貧しい人々や最も弱い立場に置かれた人々が、一番打撃を受けています。

COP26に向けて、赤十字運動は、世界のリーダーたちに対して、温室効果ガスの排出量を迅速かつ大幅に削減するために今すぐ行動すること、また同時に、コロナ禍で得た教訓を念頭に、気候変動に起因する現在または喫緊の人道上の被害に緊急に対処することを求めます。

世界各地で貧しく、弱い立場に置かれたコミュニティーが、一度に複数の危機に直面しています。異常気象や食料不安、コロナ禍、紛争などの影響が重なり、何百万もの命が危険にさらされ、かつてないほどの人道ニーズが生まれています。

気候変動はリスクを増幅させ、壊滅的な被害が進行、拡大しています。コロナ禍が始まって以来、気候変動絡みの災害によって、少なくとも1億3900万人の暮らしに深刻な影響が及んでいます。気候変動の影響を最も受けやすい25カ国のうち、14カ国は紛争下にあります。しかし、こうした国やコミュニティーに限って、気候変動対策資金が投入されないのです。こうした状況を変えなければなりません。

いかなる国や組織も、単独で取り組みを行うことはできません。赤十字運動は、気候危機を食い止めるための世界的な取り組みの一端を担い、その活動にコミットします。

新型コロナウイルス感染症の世界的な流行に歯止めをかけるための取り組みに参加した、各国の赤十字社、赤新月社のボランティアは何百万にも上り、私たちは「大勢の力」を見届けています。各社は、人道分野において政府を補助する団体であり、気候危機の取り組みにおいて重要な役割を担っています。

世界各地にいる私たちのスタッフやボランティアは、災害の発生前、最中、被災後のあらゆる段階において、コミュニティーの先頭に立って活動しています。政府当局が、効果的な備え、対応、調整を行うための災害関連法案を策定して、災害リスクガバナンスを強化できるよう助言を行っています。また、被災者が将来の有事に備えて回復力を高めるための支援や、政府当局が防災対策を強化するための支援も行っています。

さらに、私たちの事業活動から生み出される環境負荷を軽減し、温室効果ガスの排出量を削減するとともに、他団体にも同様の取り組みを呼びかけています。2021年5月にICRCとIFRCが採択した「人道団体のための気候・環境憲章」には、現在までに、各国の赤十字・赤新月社、小規模なNGO、大規模な国際組織など、150を超える団体が署名しました。今後、コミットメントを具体的な行動に移すために協力して取り組んで行くことになります。

人類の生存は、私たちが今日、気候変動の緩和とその影響を踏まえてどのような行動を取るかにかかっています。行動するのに遅すぎるということはありません。COP26に集う世界のリーダーたちは、この問題に立ち向かわなければならないのです。

以下は、赤十字運動から世界のリーダーへの5つのお願いです。

1.最も弱い立場にいる人々に対する取り組みを重点的に行うこと。私たちは、見過ごされている人々や危機に瀕している人々、避難民など、最も弱い立場に置かれた人々のニーズを最優先しなければなりません。そうした人々が直面しているリスクや立場、回復力を高める能力を把握するとともに、人々が情報を受け取り、世界や国、地域レベルで行われる意思決定や計画に参加できるようにする必要があります。あらゆるレベルで包括的な意思決定を行うことが不可欠です。

2.最も脆弱な国やコミュニティーを対象とした気候変動適応資金を増額すること。緩和策とともに、気候変動適応策を実施するための支援を強化する必要がありますが、依然としてそのための資金は不足していて、優先順位も低くなっています。

3.防災に投資して、早目の予防行動を可能にすること。私たちはすでに、気候変動が増大したことにより生じた損失や損害に直面しています。このような大規模な危機に、場当たり的な対応を行うだけでは不十分です。さまざまなセクターをまたぐ防災対策、そして気候を原因として発生し得る災害の予測精度を上げて、早期の行動を可能とするリスク分析に投資しなければなりません。

4.グローバルなコミットメントを地域における行動に転換すること。世界や各国の気候変動対策計画は、往々にして、リスクにさらされている人々に力を与えるようなものでもなければ、地域で効果的な行動を取れるようにするものではありません。組織力の向上や気候変動適応資金の調達、意思決定プロセスへの参画のための投資を通じて、各国の赤十字社、赤新月社などの地域組織・団体を支援することが不可欠です。

5.国際人道法の遵守などを通して、環境を保護すること。環境が悪化すれば、人々はよりいっそう弱い立場に置かれます。国際人道法は、自然環境を保護することで、環境の悪化を限定的なものにします。武力紛争下での環境破壊と民間人の被害は切り離すことができず、国際人道法の尊重によってそうした犠牲を回避することができます。

気候危機は現在進行形で起きていて、将来さらに悪化するでしょう。国際社会は、その深刻な事態を改善し、世界で最も弱い立場にある人々への影響を軽減するために、今すぐに対策を講じる必要があります。COP26は、被害を軽減するためのチャンスです。私たちは皆このチャンスを逃してはなりません。

国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)フランチェスコ・ロッカ会長
赤十字国際委員会(ICRC)ペーター・マウラー総裁

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