サッカー選手も、医療従事者も、同じヒーロー! ―フランス代表MFブレーズ・マテュイディ選手とのコラボキャンペーンが本日キックオフ
ジュネーブ(ICRC)- 「私たちの命を救ってくれる医療スタッフが、コンゴ民主共和国であれどこであれ、攻撃にさらされているなんて、とんでもないことです。外科医や看護師、そして病院で働くスタッフは、サッカー選手同様、多くのサポーターによって支えられるべきです」。
前回のワールドカップロシア大会で優勝したフランスの代表選手で、昨年、ユベントス(イタリア・セリエA)を離れ、米メジャーリーグ・サッカー(MLS)のインテル・マイアミに移籍したブレーズ・マテュイディ選手。今回ICRCとのコラボレーションを引き受けた理由のひとつが、母親の故郷であり、自身にとっても特別な国であるコンゴ民主共和国において、医療への攻撃が後を絶たない現状です。
過日ICRCがまとめたデータによると、2016~20年の間に発生した医療への攻撃は3,780件に上り、年平均で33カ国が被害を受けていることがわかりました。より詳細なデータ報告はこちら:https://jp.icrc.org/information/healthcare-in-danger-2021/
こうした看過できない現状にあって、人々の命を守り、つなぐ役割を担っている医療関係者を保護する必要性を世界中の人と共有し、その偉大さを認識してもらいたい。その思いでICRCはこの度、マテュイディ選手とのコラボキャンペーンをサーチ・アンド・サーチ社と立ち上げました。本日5月19日がキックオフとなります。
今回のキャンペーンに合わせて制作したショートムービーは、ファンやサポーターが熱狂的に応援する先に戦傷外科医がいる、という架空の設定です。「この映像では、戦傷外科医をサッカー選手に見立てています。サッカーの大一番を観戦する人たちが、試合前の選手のウォーミングアップからトロフィー授与式まで見届けるように、見ている人は手術のプロセスを追っていくことになります」。こう語るのは、制作を手掛けたステファーヌ・バルバト監督。「そして、最後にマテュイディ選手が一ファンとして登場します。立場が逆転していることで、賞賛に値する仕事をしている医療従事者に対して、自分たちの注目があまりにも低かったことに気付くのです」。
私たちは、紛争下の医療が攻撃される事態を憂慮し、ことあるごとに声を上げています。同時に、現場の保健当局と密に連携し、医療従事者の保護にも当たっています。その一例が、病院関係者の協力のもとに行っている、緊急救命室に持ち込まれる銃の数を削減するためのプロジェクトです。このプロジェクトを実施した結果、例えば南アジアのある国の病院では、病棟に持ち込まれる前に没収した銃の数が、それまで1カ月平均2丁だったのが、5カ月後には42丁にまで増え、医療スタッフや患者の安全性を向上することができました。
ICRCでHealth Care in Danger(危機に立つ医療)事業を統括するマーチェイ・ポルコウスキーは、次のように語ります。「医療スタッフや医療施設を守るためには、現行の取り組みに加えて、もっと具体的な行動を呼び起こす必要があります。実効性のある、より強力な法律を整備し、医療施設の安全性を高め、適切な訓練を施す、などです」。
キャンペーンムービーは、ブレーズ・マテュイディ選手のインスタグラムやツイッターなどのSNSアカウントに加えて、ICRCアカウントでも拡散されます。医療従事者を攻撃から守り、その素晴らしい貢献を称えるために、皆さんも是非拡散にご協力ください!