ICRC総裁のミャンマー訪問:人道問題をめぐり最高司令官と会談
2021年6月3日
赤十字国際委員会(ICRC)のペーター・マウラー総裁は、ミャンマー国軍のミン・アウン・フライン最高司令官と会談するためミャンマー入りしました。
マウラー総裁は司令官との会談で、ICRCがミャンマー国内で近年展開してきた人道支援が多岐にわたり、強化されていることを強調。人々が現在必要としている支援の規模や範囲を踏まえて、チン州、カチン州、カヤー州、カイン州、シャン州およびラカイン州などにおける、人道支援のためのより広範なアクセスを主張しました。
ICRCはミャンマーにおいて、軍や治安部隊と守秘義務に則って非公開に対話しています。会談の中で総裁は、治安を維持するうえでの武力行使など、主要な人道上の問題についても言及しました。
また、人道的見地からICRCによる収容所の訪問を再開する重要性を指摘。収容所の訪問やそれにまつわる活動は、コロナウイルスの感染拡大を機に中断されています。収容所における私たちの活動は、被拘束者への人道的処遇や施設内の環境整備を徹底するうえで欠かせません。また、面会など、家族と再び接触する機会が持てるようにすることも大事です。
「紛争やコロナ禍に加えて、現在の情勢によってミャンマーの人々は混乱し、緊急的な人道支援や保護を必要としています」と会談後に語ったマウラー総裁。「現在の人道状況に対するICRCの懸念を共有し、中立で公平な人道支援を行う余地を確保するための交渉に拍車をかけるのが、今回の訪問の目的でした」。
会談の中で総裁は、国内パートナーのミャンマー赤十字社による人道支援についても言及。特に、応急処置などの救命活動や緊急対応、コロナ対策において、ICRCによる同社へのサポート強化の意思を改めて表明しました。こうしたサポートは、共同体である国際赤十字・赤新月運動のパートナーと密に連携して実施されます。
ICRCはミャンマーで30年以上にわたり、紛争や暴力行為に巻き込まれた人びとに寄り添っています。武力紛争やその他暴力の伴う事態において、生命と尊厳を守り、支援を提供することをその人道的使命としています。また、国際人道法および世界共通の人道の諸原則を普及し、強化することで、人々に苦しみが及ばないよう尽力しています。