安保理決議第1373号採択20周年-テロ対策委員会でICRCが声明を発表

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2021.11.24

©ICRC

2001年に国連安全保障理事会(安保理)決議第1373号が採択された際に設立され、今年20周年目を迎えたテロ対策委員会の特別会合で、赤十字国際委員会(ICRC)が声明を発表しました。

2001年9月11日にアメリカで同時多発テロが発生してから17日後、安保理は決議1373号を採択し、テロ対策委員会を設立しました。私たちはこの機会に、過去20年間のテロ対策の進展を振り返り、国連の取り組みに改善の余地があるかどうかを含めて、今後の方向性を見出すことができればと思います。国際人道法の守護者であり、また武力紛争の犠牲者を支援・保護する使命を持つICRCにとって、テロ対策は非常に重要なテーマです。

ここで強調しておきたいのは、ICRCはテロ行為を明確に非難しているということです。テロ行為は、人道と区別の原則を含む国際人道法の基本原則を否定するものです。また、同決議で謳われているように、国家には、国際法に則ってテロ行為に対抗するために行動する権利と、国民をテロ行為から守る義務があるということを追認します。

ここでは、2つの重要なポイントを提示したいと思います。

ひとつは、「テロ対策が公平な人道支援に及ぼす影響について」、もうひとつは、「国連のテロ対策の構造を強化し、テロ対策が人道支援に及ぼす悪影響を軽減するために、安保理と加盟国がいかなる手段を取ることができるか」、です。

国際人道法は、民間人に恐怖を与えることを主な目的とした暴力行為や脅迫を禁止しています。しかし、より広く国際法全般を見ても、何がテロ行為で、何がテロ行為でないのか、その境界線が必ずしも明示されているわけではありません。同決議と、最近採択された第2462号と第2482号の決議には、誰をテロリストやテロ集団とみなすのか、あるいは何をもってテロ行為とするのかが定義されていません。それにも関わらず、これらの決議は国家に対して、テロリストとみなされる個人や集団との経済交流は、いかなる目的であっても「重大な犯罪行為」である、と法律で定めるよう要請しています。このことが、公平な人道支援に支障をきたす原因となっています。

私たちは、人道支援従事者が前線をまたいで人命救助や必要不可欠な支援を行うことを犯罪とみなしたり制限したりするようなテロ対策に強い懸念を抱いています。人道支援従事者が国際人道法で定められた任務を遂行することが禁じられた場合、民間人に甚大な被害が及びます。いわゆる「テロ集団」に拘束された人々を訪問したり、遺体を回収したり、武装集団に対して国際人道法上の義務を尊重するよう研修を実施したり、被拘束者の相互交換を後方支援をしたりすることができなくなる可能性があります。また、水関連のインフラ修復、負傷者の治療、コロナワクチンの接種支援なども禁じられるかもしれません。こうした懸念がある中で、テロとの戦いにおける正当な国益と人道支援とのバランスについて議論する場を設けてくれた本テロ対策委員会に対して、私たちは感謝申し上げます。

ここで、いくつか提案させていただきます。

まず、決議第2462号の5の規定にある「いかなる目的であっても」という文言は見直されるべきです。特に「特定のテロ行為との関連性がない場合にも」という文言と組み合わさると、絶対的に例外は認めない、と受け取れます。「いかなる目的であっても」は、文面だけ見ると人道上の目的も含まれてしまいます。5の規定では、テロリストとみなされる個人や集団との様々な経済的接触に罰を設けるよう国家に促していますが、すべての国連加盟国が加入しているジュネーヴ諸条約に保障される公平な人道支援は刑罰の対象から除外されるべきです。

次に、テロ対策委員会事務局および第1267号監視チームが昨年、テロ対策が公平な人道支援に影響を及ぼしている事実を「考慮に入れる」ための措置が明らかに不十分であると報告しました。これを受けて、今後の決議では、「考慮に入れる」という言葉を見直し、「公平な人道支援に及ぶテロ対策の影響を緩和するための措置をとる」とすべきです。

近年、フィリピンやスイス、チャドなど、いくつかの国がテロ対策法から人道支援を保護するための国内法令を定めています。また、欧州連合(EU)やアフリカ連合などの地域機関も対策を講じています。今年7月16日にフランスが議長を務めた安保理での議論や、8月11日にケニアが主催したアリア式会議、さらには最近のテロ対策委員会での議論で見られる変化や進展を、私たちは心強く感じています。

テロに対抗しながらも、武力紛争下にある人々のため、人道の原則に沿った支援活動を維持していけるよう前進を続けましょう。それは実現可能なことであると信じています。ICRCは共に進んでいくパートナーとして、その実現に全力で取り組む準備ができています。

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