2021年度 国際人道法(IHL)模擬裁判・ロールプレイ大会 国内予選大会開催報告

イベント
2021.12.24

©ICRC

赤十字国際委員会(ICRC)は、2021年度国際人道法(IHL)模擬裁判およびロールプレイ大会国内予選を、2021年11月27日(土)、28日(日)、12月12日(日)の三日間にわたって開催しました。日本におけるIHL模擬裁判大会の開催は今回で12回目、ロールプレイ大会は2回目の開催となります。今年は模擬裁判大会とロールプレイ大会を同時開催しました。

模擬裁判大会は、準決勝・決勝戦を2年ぶりに対面で実施。決勝に勝ち進んだのは東京大学チームと早稲田大学チームで、接戦を僅差で制したのが東京大学チームでした。また、最優秀弁論賞は、同志社大学チームの吉本沙生さんに贈られました。

参加したのは次の10大学です。愛知県立大学、宇都宮大学、国際基督教大学、西南学院大学、東京大学、同志社大学、横浜市立大学、立命館アジア太平洋大学、立命館大学、早稲田大学

また、ロールプレイ大会には、宇都宮大学、国際基督教大学、西南学院大学、東京大学、立命館アジア太平洋大学、立命館大学、早稲田大学の計7大学が参加し、立命館アジア太平洋大学チームが優勝しました。

模擬裁判大会で優勝した東京大学チームの直居 佑奈さん、Jenna Stallardさん、宮下 姫那メルディーさん。©ICRC

最優秀弁論賞を受賞した、同志社大学チームの吉本 沙生さん。©ICRC

ロールプレイ大会で優勝した立命館アジア太平洋大学チームのAlina Maritza Satariさん、Gillian Encarnacionさん、Fathia Fairuzaさん。ICRC職員の役を演じ、捕虜収容所を訪問する様子。©ICRC

今年初めて同時開催した二つの大会は、昨年同様、早稲田大学の古谷修一教授、横浜市立大学の瀬田真准教授、西南学院大学の根岸陽太准教授、東京大学キハラハント愛准教授、そして各々のゼミ生のサポートを得て成功裏に幕を閉じました。

また、裁判官に、ICRC関係者に加えて以下の方々を迎えました。

  • 大阪女学院大学/髙橋宗瑠氏
  • 外務省総合外交政策局人権人道課/大橋佳美氏
  • クリフォードチャンス法律事務所/中鳥勇紀氏
  • 国際刑事裁判所/マンスフィールド デビッド 宥雅氏
  • 国連クメール・ルージュ法廷支援機関最高裁判部インターン/竹内康朗氏
  • 日本弁護士連合会/須田洋平氏、大野鉄平氏、高田敏明氏
  • 日本赤十字社/齊藤彰彦氏、祐成のどか氏
  • 一橋大学/竹村仁美氏
  • 静岡大学/川岸伸氏
  • フィリピン国防省/Lieutenant-Colonel Joven D. Capitulo PA
  • 防衛大学校/石井由梨佳氏

ロールプレイ大会のアクターとして、過去のIHL模擬裁判大会、IHLロールプレイ大会の出場者でもある東京大学のAmishi Agrawalさん、金原芽以さんにも協力いただきました。

模擬裁判とロールプレイは、架空の武力紛争下の問題に関する設定文をそれぞれのチームが事前に読み込み、周到な準備を行います。

模擬裁判では、国際法一般、特にIHLの知識を駆使しながら、英語で自らの弁論を展開。学生たちは、IHLの理解と弁論の正当性を質す裁判官からの鋭い質問に奮闘していました。

一方で、ロールプレイ大会は、大会2日前に公開される場面設定に基づいて、武力紛争下における人道支援団体や関係省庁のスタッフに扮します。捕虜収容所を訪問して人道的な処遇を受けているかをモニタリングしたり、IHL違反の疑惑をめぐって開かれる記者会見を協議したりと、学生たちは紛争地の様々なアクターを演じることで、IHLの理論と実践について理解を深めます。

大会期間中には、サイドイベントとして、ICRCにおけるキャリア紹介や、海外で実施されているロールプレイ大会「ジャン‐ピクテ・コンペティション」参加者からの体験談の共有、「ICRCと核兵器廃絶」テーマにした講演なども行いました。

模擬裁判大会の優勝チームは、香港で開催されるアジア・太平洋地域本選に、また、ロールプレイ大会の優勝チームは、クアラルンプールでの地域本選に日本代表として参加します。いずれも、開催時期は2022年3月を予定し、オンライン開催の見込みです。ICRCは、優勝チームの本選参加に向けて引き続きサポートしていきます。