2022年 国際人道法模擬裁判・ロールプレイ大会 国内予選の結果報告

イベント
2023.01.26

赤十字国際委員会(ICRC)は、2022年度国際人道法(IHL)模擬裁判およびロールプレイ大会国内予選を、2022年12月3日(土)、10日(土)、12月11日(日)の3日間にわたって開催しました。日本におけるIHL模擬裁判大会は今回で13回目、ロールプレイ大会は3回目の開催となります。

参加チームは、同年8月に発表された架空の武力紛争下の問題に関する設定文を読み込み、周到な準備を進めて大会に臨みました。

模擬裁判大会は、前回同様に予選をオンライン、準決勝・決勝戦を早稲田大学にて対面で実施。参加チームは、検察側と弁護側に分かれて、国際法一般、特にIHLの知識を駆使しながら、英語で自らの弁論を展開しました。全9チーム(愛知県立大学、宇都宮大学、京都大学、西南学院大学、東京大学、同志社大学、防衛大学校、立命館大学、早稲田大学)の中から決勝に勝ち進んだのは東京大学チームと宇都宮大学チーム。接戦ののち東京大学チームが優勝を果たし、香港で予定されているアジア・太平洋地域本選への出場資格を手にしました。また、最優秀弁論賞は、宇都宮大学チームのMagda Yukari Hagiya Corredoさんに贈られました。

模擬裁判大会で優勝した東京大学チーム
(左からキハラハント愛教授、黒須開さん、Jihyun Leeさん、北川拓人さん)©ICRC


最優秀弁論賞を受賞した宇都宮大学チームのMagda Yukari Hagiya Corredoさん(左)©ICRC

前回は新型コロナウィルス感染症対策のためオンラインのみの実施だったロールプレイ大会も、3年ぶりに会場を設け、東京大学にて対面での開催が実現しました。参加チームは、武力紛争下で働く人道支援団体のスタッフに扮し、収容所に拘束された子どもの訪問や、「人道回廊」と言われる安全な経路の設置に向けた当事者間の協議等、大会当日に与えられる課題に臨み、異なる状況下でIHLの実践に努めていました。全8チーム(宇都宮大学、大阪大学、国際基督教大学、西南学院大学、同志社大学、立命館アジア太平洋大学、立命館大学、早稲田大学)のうち、2年連続で立命館アジア太平洋大学チームが優勝し、2023年2月にアルバニアで開催されるジャン-ピクテ・コンペティション (Concours Jean-Pictet)に出場します。

ロールプレイ大会で優勝した立命館アジア太平洋大学チーム
(左からThu Thuy Nguyenさん、Rukhsora Satimboevaさん、Ghiandi Amna Ghozalyさん)
赤十字の職員に扮し、収容所を訪問する様子 ©Aaron Sheppard

裁判官・審査員として、ICRC関係者に加えて以下の方々にご協力いただきました。(敬称略)

  • Andrew Decker、Benjamin Garcia/アメリカ海軍
  • Kalika Kastein/オタゴ大学
  • Randall Bagwell/アメリカ赤十字社
  • マンスフィールド デビッド 宥雅/国際刑事裁判所
  • 中山登/国連アジア極東犯罪防止研修所
  • 中村日向子/司法研修所
  • 中鳥勇紀/クリフォードチャンス法律事務所
  • 乗上美沙/ビジネスと人権リソースセンター
  • 大野鉄平、小林美奈/日本弁護士連合会
  • 山下渉、竹内康朗/外務省総合外交政策局人権人道課
  • 水元舜/日本赤十字社
  • 田村恵理子/宮崎公立大学
  • 須田洋平/須田洋平法律事務所

また、大会の運営には、早稲田大学教授の古谷修一氏、東京大学教授のキハラハント愛氏をはじめ、それぞれの大学の学生にサポートしていただきました。

大会期間中は、サイドイベントとして講演会も実施。自衛隊法務官の篠村和也陸将補から自身の職務内容とキャリア形成について、外務省人権人道課からは、国際人権・人道法調査員の竹内康朗氏にICRCでのインターンシップの経験やIHLに直結した職務についてお話いただきました。

過去のIHL模擬裁判国内大会で参加チームの一員だった方が、立場を変えて裁判官として協力いただくケースも増えてきました。オンライン・対面の両方を組み合わせることで、参加者と裁判官役として協力していただいている方たちの交流も促進することができ、IHLのネットワークは着々と広がっています。
ICRC駐日代表部は主催団体として、各優勝チームの国際・地域大会進出をサポートしつつ、次回大会の開催にも引き続き意欲を注いでいきます。