エチオピア、スーダン、ジブチでの緊急人道支援を拡大
赤十字国際委員会(ICRC)は、エチオピア北部ティグレ州における深刻な人道ニーズに対応するための緊急支援を拡大するために、ドナー各国に対して、2千万スイス・フラン(日本円で約23.4億円)の資金援助を要請。同様に、国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)も、エチオピア赤十字社、スーダン赤新月社、ジブチ赤新月社を通じて、エチオピアの周辺地域で弱い立場に追い込まれている人々を支援するために、ドナー各国に対して、2千7百万スイス・フラン(日本円で約31.6億円)を要請しています。
エチオピア/スーダン/ジブチ(ICRC)―ティグレでは多くの人々が避難を余儀なくされ、6万人近くがスーダンに逃れました。この地域の難民や避難民は、食料や、水、医療など不可欠なサービスが不足している事態に苦しめられています。ティグレの医療施設の中には、放置され略奪にあった施設もあれば、物資が不足し、増える一方のニーズへの対応に苦慮している施設もあります。何千もの人々が親族と離ればなれになっています。
「ティグレでは人道ニーズが膨らむ一方です。政府は対応を加速する必要があります。手遅れになる前に人々を救援するためには、人道支援組織が現場へのアクセスを確保する必要があります」とICRCアフリカ事業局長は語ります。「大都市以外で人道支援を行うことは依然として難しく、農村地域における人道状況はほとんど表に出てきていません」。
「ティグレにおける最近の情勢悪化によって、エチオピアや隣国のスーダン、ジブチで弱い立場に置かれている人々の状況も悪化しました。この地域は戦闘開始前からすでに深刻な食料不安や、サバクトビバッタの来襲、干ばつ、コロナ禍などの問題に直面していたのです」と語るのは、 IFRCのアフリカ事業局長です。
エチオピア赤十字社(ERCS)は、ティグレなど国内各地にある拠点で、戦闘が開始したその日からICRCとともに人道支援を行ってきました。 ERCSは、今回の危機下で自らも被害者でありながら活動を続けている大勢のボランティアのネットワークに支えられています。
ICRCは、ティグレ州で数十年にわたって活動しています。約3カ月前に戦闘が勃発してからも、途切れることはありません。最優先事項は、州都メケレをはじめアクスム、アドワ、シレにある病院の支援です。まずは、初動チームをメケレに派遣し、約11,300世帯の連絡・通信を回復する支援などを行ってきました。今回のドナー国への資金援助要請は、こうした支援をより強化するためです。 メケレでの支援拡大やシレの事務所再開に充てられる予定です。
そうした支援拡大に加えて、武力闘争が頻発しているベニシャングル・グムズやオロミア州西部、グジ各地での憂慮すべき人道状況にも引き続き対応していきます。
スーダン赤新月社は、食料や生活必需品を配付し、難民やホストコミュニティに対してプライマリヘルスケア(一次医療)を提供しています。 IFRCは、スーダン赤新月社に対して4万人を支援するための緊急資金援助を行いました。 ジブチ赤新月社は、ホルホル難民キャンプとオボックで活動を継続し、水や保健衛生に関するサービスを提供するとともに、衛生面やコロナへの対策にまつわる啓発活動を行っています。
IFRCが各国政府に要請している資金援助は、エチオピア赤十字社、スーダン赤新月社、ジブチ赤新月社による66万人への人道支援や復興支援に充てられます。
世界最大の人道支援ネットワークを誇る国際赤十字・赤新月運動は、赤十字国際委員会(ICRC)、国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)および各国の赤十字社や赤新月社で構成されます。
ICRCの現地活動状況:
- ここ数カ月にわたり水不足に陥っているメケレ内で、給水トラックと貯水タンクによって、1日当たり3,700人に水を供給。
- 戦闘兵器によって負傷した4,500人、およびプライマリヘルスケアを必要とする患者10,900人に医療を提供。また 648人に障がい者を対象としたリハビリの機会も提供。
- 保健省やカトリック救援事業会から提供された35トンの食料を、ティグレ州内の4つの病院に供給。
- メケレの約9,500人の避難民に生活必需品を提供。
- スーダンやエチオピアで、現地の赤十字社、赤新月社とともにICRCの各拠点において、11,300世帯が親族との連絡を回復するための支援を実施。
IFRCの現地活動状況:
- 11月にエチオピア赤十字社に資金援助を実施。以降4カ月にわたって、アムハラの紛争被害者7,500人に対する医療、水、保健衛生、シェルター、生活面における支援の強化に尽力。
- スーダンに逃れてきたエチオピア難民4万人に緊急支援を提供するため、現地赤新月社に緊急資金援助を実施。 スーダン赤新月社は、国内各地の活動拠点や難民キャンプで、シェルターや生活必需品、保健医療、飲料水、保健衛生を提供し、性暴力からの保護や障がい者の受け入れなども実施。
- 上述の3カ国において、コロナ禍の緩和に向けて赤十字社、赤新月社を支援。