ICRCインターンシップ体験談 広報インターン飯島美穂子さん
応募のきっかけは?
ICRCに応募するきっかけとなったのは、ロシア・ウクライナにおける国際的武力紛争でした。私は、学部・大学院において、平和構築や「人間の安全保障」を学び、国際情勢には常にアンテナを張っているつもりでしたが、連日目にするメディア報道を通して、改めて考えさせられることが多くありました。実際に現場では何が起こっているのか、一体自分には何ができるのか、そんなことを考える日々が続いていました。
そのような時に、所属していた大学院の研究センターを通じて、ICRC駐日代表部でインターンを募集していることを知りました。学部や大学院における学びを深めると同時に、自分自身も何かしらの形で国際人道支援の一助になりたいと強く思い、応募を決意しました。
業務内容は?
私は主に、広報インターンとして半年間業務に携わりました。コミュニケーション部門は、紛争をはじめとするさまざまな暴力が発生する国や地域の状況や、ICRCの活動、国際人道法の意義を知って頂くことで、ICRCの現場の活動をサポートする役割を担います。
具体的には、毎月ICRC駐日代表部が発行しているE-newsletterの原稿作成や、公式Twitter、Facebookのドラフト作成を行いました。日々刻々と変化する国際情勢に加え、紛争地の現状を正確にわかりやすく伝え、読んでいただいている方が紛争地域にいる人々に思いを馳せていただけるよう意識しました。さらに、駐日代表部が発信する情報によって、誤解や混乱が生まれないよう、1つ1つの言葉に注意しながら、コンテンツの作成に注力していました。
以上のような日々の業務に加えて、ジュネーブ本部から共有される動画コンテンツの翻訳や、ICRCの活動をまとめた「facts & figures 2021 」と2023年版カレンダーの作成、8月に着任したライク駐日代表へのインタビューにも携わらせて頂きました。自身が携わったコンテンツが実際に目に見える形になり、皆さんのお手元に届けられるというプロセスを何度も経験することができ、日々達成感や充実感を感じることができました。
インターン期間を振り返って
半年間で多種多様な業務を経験させて頂き、どの業務にもやりがいを感じることができました。なぜやりがいを感じることができるのか、その背景を探ってみると、全ての業務に、ある共通点がありました。それは、『「紛争地の今」、「紛争地に暮らす人々の声」を知ることができる』ということでした。
例えば、ライク駐日代表へのインタビューを通して、紛争終結に向けて、紛争当事者間の対話を中立的な立場から仲介するうえでどのような役割を担ったか、離散した家族はどんな状況に置かれ、再会できた時にどのようなことを感じるのか、ということを詳細に知ることができました。毎週行われる定例ミーティングでは、今世界ではどのようなことが起こっているのか、実際に現場では何が求められているのか、そして国際社会はどのように対応しているのか、ICRCとしてどのようなことができるのか、といったことを共有し合うことで、「紛争地の今」を知ることができました。全世界にネットワークを構築しているICRCだからこそ知れる「紛争地の今」があるということを実感しました。あらゆる地域の紛争国の名前が常に飛び交い、議論を行う環境に身を置くことができ、大変刺激的でした。
私は大学・大学院を通じて、紛争後の平和構築に関する研究を行いましたが、実際に紛争地に足を運んだ経験はありません。しかし、ICRCのインターンとして業務に携わる中で、実際に現地へ訪問することはできなくても、日々の業務の中で、ICRCでしか得られない「生の現場」、「生の人道支援」を垣間見ることができ、新たな形で人道支援と向き合うことができたと実感しています。
今後のキャリア展望
大学院修了後も、国際協力に携わる予定です。もともと、大学・大学院での学びを活かすことができる国際協力や国際人道支援をキャリアの軸として考えていましたが、ICRCにおける半年間のインターンを終え、その思いがより強くなりました。自身の中で国際協力や人道支援に携わるということが、漠然としていたイメージから決意に変わったと感じています。
今後も人道支援、平和構築、国際協力に関する学びを続け、ICRCが創設以来160年にわたって継続して行ってきたように、私自身も人道支援を必要とする人々に寄り添いたいと考えています。
ICRCでのインターンシップを考えている人へ
今、日本は武力紛争下にあるわけではありません。しかし、世界を見渡してみると、武力紛争による深刻な影響を受け、人道ニーズが拡大し続けている国が多く存在します。国際情勢やとりわけ人道支援に関心を持っていても、「自分は日本で暮らしているから、紛争下にいる人々に対して何もできないのではないか」そのような思いで、一歩を踏み出すことができない方は少なくないのではないでしょうか。実は、以前の私もそのように感じていました。
しかし、紛争地で支援を必要とする人々に寄り添うためには、日本をはじめ、多くの国や組織の協働が求められます。ICRCを通して、日本の皆さんに紛争下に置かれている人々の状況を伝え、国際人道法、そして人道支援がいかに重要であるかを知って頂くことで、共感や協働を促し、それが紛争などの暴力によって苦しめられている人々を救う一歩になります。
ICRC駐日代表部でのインターンシップは、国際人道法や紛争下における人道支援のあり方に対する深い共感と理解をもつ経験豊かなスタッフの皆さんと共に働くことで、日本にいながら人道支援に携わることができる、非常に貴重で有意義な経験となります。
人道支援や国際情勢に少しでも関心のある方は、ぜひICRCでインターンとして挑戦し、「生の現場」、「生の人道支援」を感じていただきたいです!
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