イエメン紛争で拘束された1,000人以上が故郷に帰還

プレスリリース
2020.10.21

ジュネーブ(ICRC) ― イエメン紛争下で捕らわれた1,000人以上の被拘束者が、赤十字国際委員会(ICRC)の支援のもと故郷に帰還しました。5年半続いているイエメン紛争に関連してICRCが実施した帰還支援のうち、今回が最大規模のものとなりました。

 

10月15、16日の2日間、イエメンとサウジアラビアの5都市をICRCの航空機が11回飛行。解放された被拘束者1,056人を移送しました。

 

サナアの空港にて

サナアの空港にて ©ICRC


 

「苦しみに満ちた戦争が続く中での重要な出来事となりました。1,000以上の家族が大切な人との再会を喜ぶことでしょう。私たちも非常に嬉しいですが、一方で、いまだ数百人が再会を果たせていないことを忘れてはなりません。これをきっかけに、今後被拘束者のさらなる解放に拍車がかかることを願います」とICRCイエメン代表部のカタリーナ・リッツ首席代表は語ります。今回、紛争当事者双方の被拘束者がほぼ同時に解放されたのは、2018年後半に締結されたストックホルム協定を踏まえて先月スイス・モントルーで行われた協議の成果です。解放に伴い、ICRCは捕らわれていた人々を中立的な立場で移送する役割を果たしました。また解放前に被拘束者と1対1で面接を行い、健康状態をチェックしました。これは、彼らの帰還の意思と、移送に耐えられる健康状態かどうかを確認するためです。

 

「今回の解放は、紛争に関与する当事者間の慎重な交渉の賜物で、励みになる一歩です」と語るのは、ICRCクウェート代表部のオマー・オデフ首席代表。 「大勢が解放されたため、ロジ面で複雑さを極めました。それでも、私たちICRCが中立的な立場から家族再会に導くお手伝いができたことは喜ばしいことです」。

 

サユーン空港を飛び立つICRC機

サユーン空港を飛び立つICRC機 ©ICRC

 

11便の発着地は、サウジアラビアの2つの空港(アバ、リヤド)とイエメンの3つの空港(アデン、サナア、サユーン)で、ICRCは被拘束者に衣服と衛生用品、そして最終目的地にたどり着くための現金を渡しました。

 

また個人用防護具(PPE)の配付、健康指導、空港や機内でのソーシャルディスタンスの確保を通して、新型コロナウイルス感染予防策を講じました。イエメン赤新月社とサウジアラビア赤新月社の医療スタッフとボランティアも、2日間にわたって空港と機内で支援。飛行中や降機後に衰弱している被拘束者の面倒をみたり、救急車を用意したりしました。

 

イエメン紛争関連で、ICRCは2019年11月から2020年9月の間に5、6回被拘束者の解放に関わってきましたが、今回が最大の規模でした。