核軍縮を進めるなら今この時
9月26日付共同リリース
赤十字国際委員会
国際赤十字・赤新月社連盟
「核兵器の全面的廃絶のための国際デー」にあたる本日9月26日、赤十字運動(正式名称:国際赤十字・赤新月運動)は、核兵器の使用禁止と完全廃絶に向けた条約の交渉に入るよう各国政府に呼びかけます。
この呼びかけは、米ニューヨークで開催中の国連総会に合わせて表明されるものです。今回の総会では、核兵器禁止条約を議論する会議を2017年に開催するかどうかが問われます。開催が決まれば、核の全面的廃絶の議論が一歩前進することが期待されます。そのためにも各国は、核軍縮のための国連作業部会が8月に提出して広範な支持を得た勧告に沿って行動することが求められます。
第二次世界大戦終結から70年以上が経った今、核兵器の禁止が現実のものとなりつつあります。
「この機運を各国に捉えてもらいたい」と話すのは、赤十字国際委員会(ICRC)のペーター・マウラー総裁。「今この時、国際社会を背負って立つ者は核廃絶に向けたリーダーシップを発揮すべきです。世界から完全に、そして永遠に核兵器をなくさなくてはなりません。完全に廃絶されるまでは、意図的であろうと偶発的であろうと核爆発が起こる可能性は拭い去れないのです。それは、人体や環境、気候、食料生産、社会・経済開発に壊滅的かつ長期的な影響を及ぼすリスクが常にあることを意味します。核兵器のない世の中にする。これは人道的要請です」
国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)の近衞忠煇会長は次のように述べています。「たった一つの核兵器が、人類にどれほど長きにわたり悲惨な現実を突きつけるのかは、歴史が証明しています。広島と長崎に原爆が投下されて70年以上経った現在も、この二つの都市にある赤十字病院の医師は、長期的な健康被害と闘う何千もの人を治療しています」
「近年保有されている核兵器の多くは、1945年に投下された原爆とは比較にならないほどの威力と破壊力を持っています」と近衞会長。「核攻撃が現実のものとなった時、迅速かつ有効な人道支援を届けることはほぼ不可能で、いかなる国際的対応も望めません」
1945年以来、赤十字運動は折に触れて核兵器をめぐる議論に一石を投じてきましたが、2011年に核兵器の使用禁止と廃絶を初めて訴えたことで、歴史上重要な一歩と捉えられています。
原文は、本部サイト(英語)をご覧ください。