6月1日より公開!「戦争と生きる力プログラム」:ショートショート フィルムフェスティバル & アジア2024

イベント
2024.05.01

©SSFF & ASIA

米国アカデミー賞が公認する国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア」(SSFF & ASIA)で毎年上映される「戦争と生きる力プログラムsupported by 赤十字」。今年は、オンラインでの上映が6月1日(土)からスタートします。

ドラマやノンフィクション作品など、世界各地から届いた選りすぐりの短編映画9作品と、ICRC制作の2作品を合わせて、計11作品を上映します。オンライン会場は、6月1日(土)~30日(日)まで公開されるのに加え、今年は6月9日(日)13:30~15:20に表参道ヒルズ・スペースオーでも上映します。

なお、短編映画9作品(ICRC制作のものは除く)のうち、5作品はオンライン会場のみでの上映、残り4作品は表参道ヒルズ・スペースオーのみでの上映になります。

【オンライン上映期間】2024年6月1日(土)~30日(日)
※視聴リンク:https://www.shortshorts.org/2024/program/program_cat/wp/wp-2/

【表参道ヒルズ スペース オーでの上映について(有料)】
※詳細はこちら:https://www.shortshorts.org/2024/program/program_cat/wp/wp-1/
※チケットの購入:https://shortshorts2024spaceo0609.peatix.com/

今年もSNSでICRC駐日代表部のスタッフによるレビューをご紹介します。是非チェックしてみてください!

※ICRC駐日代表部X(旧ツイッター):https://twitter.com/ICRC_jp
※ICRC駐日代表部フェイスブック:https://www.facebook.com/ICRC.jp/

鑑賞された後の皆さんのご意見、ご感想もお待ちしています。奮って上記SNSのコメント欄にメッセージをお寄せください。

オンライン限定上映作品

【大工職人】

クルディスタン / ノンフィクション / 2023
 
大工のクルドの老人は足を失くした人のために義足を作ろうと試みる。

ICRC駐日代表部スタッフレビュー

生きる力を強く伝える作品。四季美しい大自然の中、たったひとり木材を打つ老大工の姿から、ひとりの人間が持つささやかでひたむきな生きる力と尊厳が伝わってくる。戦争や暴力の悲惨さが直接に描かれる場面はなく、静かな気持ちで作品の世界に入り込める。大地に埋められるものは、命を脅かすものではなく育むものであってほしいと願わずにはいられない。


【17番】

スイス / ノンフィクション / 2023
 
食糧、医薬品、武器、そして弾薬。これら全てを重いリュックサックに詰め、戦時中、若い主人公は大きなリスクを冒し、夜のうちにパルチザングループのいる山中へと運んだ。レジスタンス時代の記憶が自分の死と共に失われることを恐れ、彼女は沈黙を破り、当時のことを語り始める。

ICRC駐日代表部スタッフレビュー

写真、風景、アニメーション、語り部の独白が一体となった演出は、当時彼女に何が起きたのか想像を掻き立てる。経験者による伝承がなければ、紛争の過去は風化していく。メディアで公開されるのはほんの一握りの情報に過ぎない。とりこぼされた真実を伝えることで同じ過ちを繰り返さないことができるかという挑戦を、今を生きる私たちに投げかける。


【私の名前はアセマン】

イタリア / ドラマ / 2023
 
アセマンはイタリアに住む、若く内気で控えめなアフガニスタン人女性。世界に自分自身を知ってもらう機会を得た彼女は、どこまでベールを外すのか決めることになる。

ICRC駐日代表部スタッフレビュー

マスクを着用するアセマンは、身体的な情報が隠されている。表情の動きや声の抑揚、所作、発言もまた抑制的であり、個性も伏せられている。 そんななか、唯一隠されていない彼女の目さえいつも伏し目がちで、自己開示を避けていた。 彼女は最後、タリバンに苦しんだ過去を含め、自己を開示することを決意する。その時の意思の宿った力強い彼女の目に心を揺さぶられた。


【ステーキ】

イラン / ドラマ / 2023
 
誕生日パーティーの準備中に恐ろしいことが起こり、事態が一変する。

ICRC駐日代表部スタッフレビュー

戦争が一瞬にして人々の生活を変えてしまう様子を描いた衝撃的な映画。娘の誕生日祝いの準備をしていた母親。しかし 、喜びや希望はそう長くは続かない。台詞が少ない本作は、戦争の恐ろしさをより鮮明に伝える。


【情けは人の為ならず】

アメリカ、ボスニア・ヘルツェゴビナ / ドラマ / 2023
 
第二次世界大戦中、ナチス占領下のボスニア。イスラム教徒の女性がユダヤ教徒の友人を救うため全てをかける。50年後、状況は一変し・・・。実話に基づく感動の物語。

ICRC駐日代表部スタッフレビュー

実にシンプルに構成された作品だが、だからこそまっすぐ心に届く作品。戦争において友人を助けるということは時に多大なリスクを伴う。リスクを負ってまで行動した人の美しさを映像に控えめに描きながらも、視聴者に強く伝える映画。


表参道ヒルズ・スペースオー限定上映作品

【サーシャの坂道】

日本 / ドラマ / 2023
 
坂の上にある英語教室へ通う凛は、ロシアとウクライナの紛争に関連したニュースが報道されて以降、次第に少なくなっていく生徒たちを見て不安を募らせる…。小学生とロシア人講師の小さな夏の日の物語。

ICRC駐日代表部スタッフレビュー

ありとあらゆる情報が、どこでも、誰でも、迅速に手に入るようになった現在では、離れた海外での戦争の状況も耳に入るようになった。そんななかで、大人のみならず子どもたちでさえ、否が応でも物事の善悪を判断するよう強いられているのではないか ––––––。 ひとりの親として、子どもへ伝える情報の選択や伝え方を改めて考えさせられる作品だった。


【あなたが見える】

イスラエル / ノンフィクション / 2023
 
25年間全盲だった主人公が、視力を取り戻し、妻と4人の子どもたちを初めて自分の目で見る。しかし彼の人生の新たな光は陰りを見せ始め、事態は急転直下。回復力、自己発見、そして視野の持つ奥深い力についての話は、聞く者の心をとらえて離さない。

ICRC駐日代表部スタッフレビュー

男性は25年間にも及ぶ失明の後、角膜移植によって視力を回復し、最愛の妻子の姿を見ることができるようになった。しかし、幸せも束の間、さらなる困難が彼を待ち受けていた。この映画は、ひとりの人間とその家庭を蝕んでいく紛争について深く考えるきっかけとなった。


【美しき一日】

ドイツ / ノンフィクション / 2023
 
終戦は終わりではない。ある母親の個人的な日記が私たちをいざなうのは、武装過激派グループとの戦争から逃れ、世界から忘れ去られた数多くの子どもたちの人生をめぐる詩的な旅だ。

ICRC駐日代表部スタッフレビュー

クルド人の若者の反抗、創造性、弾けるような好奇心、未来を生み出す強かさが美しい映像によって浮かび上がる。暴力や逆境に打ち負かされず、報復の連鎖に陥らず、大切な仲間と連帯する姿は勇気をくれる。一方、そんな強さをしても克服できない暴力の不条理は、「消えない暗闇」として不吉なコントラストを生んでいた。


【パレスチナ諸島】

フランス / ドラマ / 2023
 
12歳の主人公マハはバラタキャンプ出身のパレスチナ難民。弱っていく盲目の祖父の姿を見ながら、彼女はある突拍子もない計画を思いつく。彼らを孤立させる壁が遂に取り払われ、おじいちゃんに故郷に帰れることになったと信じさせるのだ。

ICRC駐日代表部スタッフレビュー

1948年以降、ヨルダン川西岸に住む人たちは、分離壁に阻まれて帰郷できていない。思い焦がれる故郷への熱く強い気持ちと、それとは裏腹の苦しい現実。意思と現実の板挟みにある人々にとって、マハの行動は家族に希望や喜びをもたらしたのではないか。


ICRC制作作品

【HOPE(希望~彼女の命を救えなかった理由)】※オンライン・会場共に視聴可

ショートフィルム【HOPE(希望~彼女の命を救えなかった理由)】のワンシーン

ドラマ/2018

赤十字国際委員会(ICRC)がHealth Care in Danger ~危機に立つ医療活動~のグローバルキャンペーンの一環で制作したショートフィルム『希望:彼女の命を救えなかった理由』。世界最大規模の広告の祭典、カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバルのフィルムクラフト部門でグランプリを受賞。


【終わりなき旅】※会場限定上映(オンライン上映なし)

アニメーション / 2023

“無限ズーム”の手法を用いて、独特のデジタルアニメを手掛けるフランス人アーティスト、バスカンジー氏による作品。テーマとして取り上げた「中立性」は、戦時下において最も支援を必要としている人々に手を差し伸べるため、赤十字が大切にしている原則です。どんな組織や勢力にもくみせず、中立であることで、紛争地の命を守り、家族の絆を取り戻すことができます。誤解されがちなこの中立性について、皆さんも一緒に考えてみませんか。