人道支援団体を対象とした気候変動に関する勉強会を日本赤十字社と実施
気候変動の影響は深刻化しており、その影響を最も受けているのは、社会から取り残された地域に住む人々です。紛争や貧困、社会基盤の脆弱性などはコミュニティーの深刻化する気候変動への適応力を低下させ、さらに社会の不平等構造や年齢、ジェンダー、障害の有無、収入といったさまざまな要因が絡み合い、その脆弱性を悪化させています。
現在、人道支援団体は人道問題の解決のみならず、変化し続ける気候や環境に人々が適応できるように貢献することも求められています。しかし、この取り組みには、複数の団体間の協力が不可欠です。
2021年5月に、赤十字国際委員会(ICRC)は、国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)と共に「人道団体のための気候環境憲章(The Climate and Environment Charter for Humanitarian Organization)」を採択しました。本憲章は、赤十字運動にとどまらず、世界のすべての人道団体の参画と協働を呼び掛け、気候と環境の危機下における多様な人道支援活動の基本指針となるように策定されたもので、すべての人道支援団体に署名を開放しています。
こうした潮流を踏まえて、ICRC駐日代表部と日本赤十字社は2024年7月1日、日本に拠点を置く人道団体が連帯し、効果的に気候・環境問題に対応するための情報交換を目的とした「気候・環境アクション勉強会」をジャパンプラットフォーム(JPF)協力のもと実施しました。勉強会には、国内外で自然災害や紛争地域・途上国で活動する人道支援団体の職員約40名が参加し、活発な議論が交されました。
勉強会の冒頭では、本気候環境憲章にサポーターとして署名する日本政府を代表して外務省緊急・人道支援課長松原一樹さんと環境省地球環境局総務課気候変動科学・適応室の松田英美子さんから「気候変動に関する日本の取り組み」と同室の気候変動適応の取り組みについてのそれぞれ紹介がありました。
日本赤十字社とICRC駐日代表部からは、「人道支援団体のための気候・環境憲章」の概要、ICRCや各国赤十字社の取り組み、両団体の気候変動対策方針なども共有されました。
また、各団体の具体的な取り組みとして、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンとWWFジャパンが各団体独自で行っている気候変動対応事業、日本のNGOが気候変動に対応する際に直面する課題、団体方針を策定する過程で抱える悩みを参加者に向けて発表しました。
勉強会の参加者からは「いままで出席したどの勉強会よりも、気候変動・環境危機に関する知識を身に着けることができたので、ぜひ継続して行ってほしい。」という要望があがりました。
今後もICRC駐日代表部は、日本赤十字社と協力し、「人道団体のための気候環境憲章」の普及に努めていきます。