ICRC賞はLGBTを取り上げた石川さん: 第二回ヤングリポーター・コンペティション授賞式
4月2日、早稲田大学において、第二回ヤングリポーター・コンペティションの授賞式を行いました。報道やジャーナリズムに関心を持つ、20~30歳の若者を対象にした同コンペティション。第二回のテーマ「多様性と寛容」に主眼を当てた映像作品、特集記事、写真によるルポルタージュなどバラエティーに富んだ作品が集まりました。
大賞であるICRC賞を受賞したのは、石川奈津美(いしかわ・なつみ)さんの映像作品、「虹の十字架~ある牧師の物語~」。賞状とトロフィーを授けた駐日代表のリン・シュレーダーは、「性的マイノリティーや社会の不寛容という難しいテーマを取り上げたこの作品に、取材者の成熟度の高さを感じた。作品を通して私自身も学ぶことがあり、とても感銘を受けた」と語りました。
石川さんには今後、ICRCの海外の活動地で取材機会が与えられ、現地の人道問題を取り上げた新たな作品を制作してもらいます。作品は、ICRCをはじめとした主催・後援団体の媒体で発表、活用され、マンガ化も予定されています。
そして、今回から新設された日本赤十字社賞は、【生活の「ささくれ」お取りします!】を執筆した
石井里歩(いしい・りほ)さんが受賞。プレゼンターの日本赤十字社企画広報室長・喜多徹氏は、「便利屋を取り上げ、身近な人たちに寄り添うという活動が良く描かれていた。日本赤十字社の活動に近いものを感じた」と作品を評価。石井さんには副賞として、日本赤十字社の国内活動地への取材の機会が与えられ、その成果は同社の広報ツールで紹介、活用されます。
佳作には二作品が選ばれました。一つ目は、吉田怜愛(よしだ・れいあ)さんの写真ルポルタージュ「ハート~ハンセン病、島を追われ、島とともに~」。
後援社でもある毎日新聞の佐藤賢二郎氏は、「写真が良く撮れている。テーマや文章ともマッチしていて効果的に使われている」と、カメラマンでもあり写真映像報道センターの副部長ならではの視点から論評しました。
もう一つは、 松本日菜子(まつもと・ひなこ)さんの映像作品「真夜中のきょうしつ」です。
プレゼンターのマンガ脚本家・大石賢一氏は、ホームレスというテーマをポップに取り上げたことに感銘を受けたと述べ、「続編があったら是非見たい」と称賛しました。
各賞は、映像、活字、写真、脚本、そして人道支援に携わる5人の審査員によって決定。
授賞式の締めくくりに総評を述べた日本記者クラブ事務局長の土生修一氏は、イラクやアフガニスタンなど新聞記者時代の自身の経験から、報道するうえで重要なのは現場にきちんと足を運ぶことだと述べ、若き報道人へ激励の言葉を贈りました。「一色の絵の具で塗りたくるだけではダメ。何色もの絵の具を塗り重ねるだけでもダメ。取材した要素をきちんとまとめ上げてバランスをとることが必要」。
受賞作品や審査員の顔ぶれなどはこちら:http://jp.icrc.org/event/yrc2017-results/
会場では、最後に、第一回の大賞受賞者、川越璃央(かわごえ・りお)さんが昨年末に訪れた、バングラデシュの避難民キャンプのリポートを上映。避難民の子どもと教育の大切さに焦点を当てたドキュメンタリーに、会場からも拍手が沸き上がりました。
ヤングリポーター・コンペティションは、早稲田大学ジャーナリズム大学院と共催し、毎日新聞社、日本赤十字社の後援で定期的に開催しています。