イスラエル/パレスチナ自治区 : 市民を守るため暴力の自制と緊張緩和を
ICRC中東事業局長ファブリツィオ・カルボーニによる声明
先日のイスラエルへのロケット弾攻撃とガザ地区への空爆は、旧市街を含めたエルサレムでここ数日激しさを増している暴力と高まる緊張の延長線上の出来事です。こうした暴力の応酬がイスラエル/パレスチナ自治区だけでなく、中東地域全体で暮らす民間人に深刻な影響を及ぼすことは明らかです。
赤十字国際委員会(ICRC)は、緊急に暴力の自制と緊張緩和を呼びかけます。暴力の応酬が繰り返されるたびに、人々の生命や住居、病院や学校などの公的事業やインフラが危機に瀕しています。
私たちはもう一度ここで、敵対行為にまつわるすべての原則が尊重されなければならないことを、紛争当事者すべてに訴えます。民間人に対する直接的で無差別な攻撃は、国際人道法によって禁止されています。いかなる攻撃も、軍事的成果と民間の犠牲を考慮した均衡性の原則に沿ったものでなければなりません。また、住民の犠牲を避けるために必要な予防措置もすべて講じなければなりません。
国際人道法の原則が尊重されずに人口密集地で武力衝突が起これば、人々は耐え難いほどの犠牲を強いられることになります。
ICRCは、すべての紛争当事者のみならず、赤十字運動のパートナーであるパレスチナ赤新月社(PRCS)やマゲン・ダビド・アドム(MDA:ダビデの赤盾社)とも連絡を取り合い、対話を続けながら、ガザ地区における医療提供の態勢強化を図っています。
こうした状況下では、必要な保健医療がきちんと提供されることがとても重要です。ICRCは、救急車両が妨害されることなく迅速かつ安全に移動できるよう、また、現地パートナー社の職員やボランティアによる貴重な救命活動がきちんと遂行されるよう、繰り返し訴えます。
私たちは、エルサレム旧市街で起きた武力衝突で負傷した人々を治療するための物資を提供し、医療行為や患者の搬送に勤しむPRCSを支援しています。
本来ならば、祝祭に向けて家族や親せきと会うのを心待ちにしている時期であるはずが、ふたを開けたら一転、痛みと恐怖が繰り返される新たな不安にさいなまれました。現地の人々のため、そして命と尊厳を守るために、暴力行為はただちに自制されなければなりません。
ICRCは1967年以来、イスラエル/パレスチナ自治区に拠点を置いて活動しています。国際人道法の遵守の促進に加えて、保護活動や支援事業を通じて、紛争や暴力、占領行為が住民に及ぼす影響の緩和に取り組んでいます。また、イスラエルやパレスチナの収容施設に被拘束者を訪ねて人道的な処遇を確認するとともに、家族面会事業を通じて家族間のつながりを維持する活動も行っています。ガザ地区では、生計自立事業のサポートや、生活に必要な水や電気などへのアクセス向上に一役買っています。そして何より、紛争に巻き込まれた人々に寄り添い、権利と尊厳を守るべく活動しています。ICRCは、イスラエルの都市テルアビブと、占領地であるヨルダン川西岸地区およびガザ地区に事務所を置き、パレスチナ赤新月社(PRCS)とマゲン・ダビド・アドム(MDA:ダビデの赤盾社)の活動を支援しています。