スケールアップするガザの赤十字野外病院

©Ahmed Al Waheidi/ICRC
赤十字国際委員会(ICRC)は現地時間の2026年5月7日、ガザ地区南部のラファにある赤十字野外病院の改修・機能強化に必要な物資の搬入を完了しました。同病院は2年前の開設以来、地域住民の命を救う役割を全うしています。
「赤十字野外病院で使用する医療機器や物資の搬入は、ガザの人びとの医療ニーズに応えるための前向きな一歩です」と、ICRCのイスラエル・パレスチナ被占領地代表部の首席代表ジュリアン・レリッソンは述べます。「とはいえ、野外病院だけでは、膨大なニーズのすべてに対応するのは不可能です」。
ICRCは、日本赤十字社を含む16の各国赤十字・赤新月社との連携のもと同病院を運営し、なかでもノルウェー赤十字社が主導的な役割を果たしています。また、こころのケアを担当するボランティアや救急チームは、現地のパレスチナ赤新月社が提供しています。ガザ南部で機能している数少ない医療施設として、同病院は外来診療において一次医療を提供する地域拠点となっています。
今回の改修と機能強化に向けた動きは、長期間にわたる承認プロセスを経て実現しました。病院全体の機能を大幅に改善し、病床数も60床から72床に増えます。そのほかにも、手術室や救急・外来部門、産科・小児科の機能向上や、病棟の過密状態の緩和、術後ケアの改善など、患者もスタッフもその恩恵にあずかります。

ガザ南部ラファにある赤十字野外病院の内部
©Ahmed Al Waheidi/ICRC
2024年5月の開設以来、赤十字野外病院の実績は次の通り:
• 手術:11,300件以上
• 診察:約25万件
• 分娩:約1,200件
• リハビリ/理学療法の実施:約19,200回
• 輸血:1,500件以上
一般的な野外病院は、一時的な解決策として用いられ、テント構造ということもあり、持ってもせいぜい1年程度です。私たちの野外病院がこれほど長く機能し続けなければならなかったこと、そして今もなお医療サービスの空白を埋めるために必要とされていることは、ガザにおける医療へのアクセスがいかに深刻な状況にあるかを如実に示しています。
ICRCイスラエル・パレスチナ被占領地代表部首席代表 ジュリアン・レリッソン
2023年10月以降、ガザのすべての病院が何らかの損壊を被ったことが報告されています。医療施設においては、水や電力、必要最低限の医療物資、医薬品が継続的に供給されること、さらには高度な医療機器も必要となってきます。今現場で切実に必要とされている医療機器は、依然としてガザへの搬入が許されていません。
「ガザの人びとが必要としているのは、医療支援だけではありません。清潔な水や衛生設備、瓦礫を除去する重機、遺体の身元確認に役立つ法医学関連の物資、そして拘束されている身内の安否情報も必要としているのです」とレリッソンは現状を語ります。「今回の機能強化は、確かにポジティブな一歩ですが、現場ではもっと多くの支援が必要とされています。ガザの人びとの尊厳を確保してこそ、復興への長い道のりへの一歩を踏み出すことができるのです」。

©Patrick Griffiths/ICRC
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