パプアニューギニア:戦場となった学校の生徒・親・教師たちの想い
部族間の戦闘が続くパプアニューギニアの高地では、戦闘が戦場の外にまで及び、学校などの公共施設が破壊されて、コミュニティー全体が教育を受けられなくなるリスクにさらされることがあります。例えば、戦闘中に学校の敷地内で破壊や略奪が起きることや、生徒やその家族が生き延びるためにやむなく故郷を逃れて身を隠し数年にわたり授業に通えなくなることがあります。
同国のヘラ州とサザンハイランド州の学校に通う生徒やその親、教師たちが、戦闘が自分たちにどのような影響を及ぼしたかを語ってくれました。
戦闘が始まったとき、私は4年生でした。たびたび授業が中止になった後、学校に通うことができなくなりました。それから、一年半が経ちます。本当は学校に通って、将来立派な人間になりたいんです。戦闘をやめてほしいです。以前のように、誰もが平和に暮らせる世の中になってほしいです。母親たちも私たち女の子も自由に暮らせるようになることを願っています。
ヘラ州在住、14歳のエリ
教育は、子どもや若者にとって未来を切り開く手段であることに加えて、心の平安をもたらし、社会生活の核を成すものでもあります。また、戦闘終結後に人々が尊厳と主体性を持って暮らしを再建するのにも役立ちます。だからこそ、戦闘下での教育の継続と安全な学習環境の確保は、人道上の最優先事項です。
赤十字国際委員会(ICRC)は、パプアニューギニアの高地で、部族間の戦闘の影響を受けているコミュニティーに寄り添って、学校や生徒への支援などを実施しています。ひとたび戦闘が終結すれば、黒板や文房具、机、衛生設備、新しい貯水槽の他、コンクリートや合板、屋根板をはじめとした建設資材などをコミュニティーに提供して、学校の再建を支援しています。
戦闘により2年もの間、学校に通うことができませんでした。ジャングルに隠れていたんです。家も、大切な人も失いました。将来、パイロットになるために、教育を受け続けたいと思っています。変化を望むなら、しっかり教育を受けた方が良いと後輩たちにも勧めています。
サザンハイランド州ワビ小学校8年生のジョイス・アルフレッド
学校はより良い暮らしへの扉を開いてくれます。学校を無事卒業して、家族を養えるような仕事に就きたいです。
サザンハイランド州ワビ小学校8年生のフレクソン・マプ
私は息子たちを学校に通わせたいと思っています。成人の儀式や戦闘員になるための訓練を受けてほしいとは思っていません。息子たちには教育を受けてほしいんです。
ヘラ州在住のジェーン
パプアニューギニアの高地にあるワビ小学校は、2019年末に始まった部族間の戦闘により大きな影響を受けて、数年にわたり休校を余儀なくされました。しかし、中立の立場から和平を推進する近隣のコミュニティーの支援のもと、交戦していたコミュニティー同士で長期にわたる和平交渉が行われた結果、ワビ小学校にもようやく平和が訪れました。
戦闘が子どもたちの教育にどのような影響を及ぼしているかということに、人々はようやく気づいたのです。だからこそ、戦闘をやめる決断をして、学校教育の再開に向けて力を尽くしたのです。
サザンハイランド州ワビ小学校のロバート・タウェ教諭
子供たちは、3年、もとい3年半ぶりに学校に通えるようになったことをとても喜んでいます。再び授業を受けたいと望んでいます。私をはじめ教師たちも、ここでまた働き、授業を再開できることを心から嬉しく思っています。誰もが学校教育の再開の喜びをかみしめています。
ワビ小学校のケプソン・ポキア教頭