シリアとイラクでは破壊的な都市型戦闘により、民間人の犠牲は8倍にー新たな調査で明らかに
世界の指導者たちが、シリアの復興に向けて課題を議論するのに集結してから1週間以上が経過。赤十字国際委員会(ICRC)が示した新たな調査結果は、民間人の犠牲が依然として大きいことを示しています。
2017年に発行された報告書「I Saw My City Die ~死にゆく私の街」では、シリアとイラク、イエメンの中東3カ国における現代の市街戦による民間人への影響について考察しました。そのフォローアップ調査を実施したところ、シリアとイラクでの人的被害が依然として大きいことが判明しました。
- イラクとシリアの4つの行政区の都市部において、2017年3月から2018年7月の間に行われた攻撃により命を落とした人の数は、現在も続く戦闘および他の地域での戦闘の8倍にあたります。
- これらの行政区で行われた市街戦により、2017年3月から2018年7月までの16カ月間で約6,485人の民間人が犠牲になりました。これは、命を落とした民間人全体の78%を占めます。
これら最新の数字は、イエメン、イラク、シリアの街が世界の戦場となっていて、致死率が最も高い戦闘地であること明らかにした昨年の報告書の結果を、さらに強調することになりました。都市部での攻撃は、戦闘そのものによって、また戦闘によってもたらされる複合的な影響により、都市を壊滅させ、死傷者の急増につながります。
2018年9月の国連総会ハイレベル会合で開かれた欧州連合(EU)主催のシリア危機に関するイベントで、ICRC総裁のペーター・マウラーは次のように述べました。
「最近シリアを訪問したとき、不均衡な攻撃によりもたらされた被害は、深刻なレベルであることを目の当たりにしました。民間人をはじめ、救急車や給水所、市場などの市民サービスが標的にされています。報復として行われる戦闘は、民間人への影響を顧みることなしにされています。今後、何年にもわたり、過激化する要素と報復の種は撒かれ続けるでしょう」
「国際社会は、シリアの長期的な再建と政治的状況について、難しい問いに答えなければなりません。他方、人道支援従事者は、人々のニーズおよび尊厳をもって生きたいという願いに応じ続ける必要があります。彼らは政治的意見の一致を待つことはできません」
フォローアップ調査:シリアのデリゾールとダマスカスを含むダマスカス郊外県と、イラクのニーナワー県とアンバール県の4つの行政区を対象に実施。戦闘傾向に関する入手可能なデータと定性分析に基づく。データは、2017年3月から2018年7月までのもの。
原文は本部サイト(英語)をご覧ください。