ニジェール:1カ月間で13万人以上に支援を提供
ニアメ(ICRC)― 西アフリカのニジェールで続いている武力紛争をはじめとした暴力の横行は、何百万人もの暮らしを破壊しています。5人に1人が人道支援を必要としている現状で、赤十字国際委員会(ICRC)はニジェール赤十字社と協力して、社会的に最も弱い立場に置かれがちな人々、特に避難者を中心に、必要とされる支援を提供します。
食料危機の影響で一日一度の食事すらままなりません。そんな中、まさに必要な支援が食料配付でした。人々は毎晩、お腹を空かせたまま眠りにつきます。
南西部ティラベリ州から避難してきたアゲリ―さん。7月18日にICRCが実施した食料支援の対象7,700人のうちの一人
ICRCの同僚たちは、同じく紛争と暴力により甚大な被害を受けている南東部の人たちにも話を聞きました。今後さらに状況が悪化するのでは、とみな危惧しています。
私たちは怖いんです。もはや安全に暮らすこともできず、最低限の食料すら手に入れることが難しくなっています。お米や雑穀、トウモロコシなど、全ての物価が急激に上がり、これまで1キロ350CFAフラン(約85円)だった輸入米は、現在500CFAフラン(約121円)で売られています。今はまだ収穫の時期ではなく、穀物倉も空なのでこの先が心配です。今の情勢が続けば、状況はさらに悪化するでしょう。
ティラベリ州アンズールーからやってきた農家のノーフーさん
2023年7月より、ICRCはニジェール赤十字社と一緒に、戦闘の影響を著しく受けた南東部ディファ州や南西部ティラベリ州、西部の北タウア州のコミュニティーに支援を提供しています。
- 避難民2,700 人以上(主に女性と子ども)が必要な生活必需品(衣類やバケツ、防水シート、蚊帳、石鹸、調理器具)を受け取りました。
- 6万人が緊急食料支援を受けました。
- 8,150世帯以上(5万7千人)が、1世帯あたり92,500CFAフラン(約22,400円)を受け取り、ICRCが一時的に設置した市場に集まった地元生産者から食料を購入。この市場での売買を通じて、地域経済の活性化を促進します。
- 農業従事者2,500人以上(350世帯)が食料生産のための種子を受け取りました。
- タウア州に3カ所ある家畜用フードバンクに60トンの小麦を配送。飼料が不足している畜産農家8,400人と農牧業を営む1,200世帯が購入できる範囲で価格設定され、売りに出されます。
ICRCニジェール代表部で生計・自立支援事業を統括している アブダラー・トゴラも、跳ね上がる物価を受けて、社会的に弱い立場にある世帯が十分な食料を得ることが今後一層難しくなるのではないか、と不安を抱いています。「過去2週間で、生活必需品が急激に値上がりしているのを目の当たりにしています。油などは60%高です。不安定な価格変動が現在も続いています」。
さらに、複数の国によるニジェールへの経済制裁や開発支援の延期が、さらなる困難を多くの人たちにもたらすリスクに拍車をかけます。
穀物市場を見ると、特に紛争の影響を受けている地域や不安定な地域の需要が供給を上回っています。避難者や難民、帰還者がいる場所では、食料の需要、食料支援の需要は急激に増しています。
ICRCニジェール代表部の首席代表ロナルド・オフテリンガー
2007年からニジェールで活動しているICRCは、人道支援を必要とする人々が今後数カ月で増加していくと予想しています。私たちは、ニジェール赤十字社およびニジェールで活動する国際赤十字・赤新月運動の仲間と協力し、今後も武力紛争やその他暴力の伴う事態の影響を受けた人々の支援と保護に努めます。そして、基本原則である人道・公平・中立を掲げて行動することを確約します。