カンボジア:自由を奪われ拘束されている人々により良い医療を

カンボジア
2016.08.03
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フェンスの中で会話をする女性たち。第二矯正センターにいる被拘束者の大半が女性だ。屋外で過ごせるよう、赤十字国際委員会(ICRC)はフェンスで囲われた休憩所を作った (c) ICRC / Nattasuda A.

27の刑務所に1万8000人の被拘束者が溢れているカンボジア。彼らが医療に適切にアクセスできるようにすることが課題です。カンボジアの刑務所の多くには簡易診療所がありますが、設備の機能の向上と収容されている人々の健康状態のモニタリングが課題となっています。赤十字国際委員会(ICRC)は問題の解決に向け、被拘束者に対する医療の質の改善を目指し、カンボジア刑務所省(GDP)への支援を6年以上も行っています。

「刑務所の制度構築には支援が必要でした。私たちは今、正しい方向に進んでいると信じています」とGDPの長官を務めるチャン・キム・センは話します。

去年の7月、女性と青少年を収容する第二矯正センターでは、医療施設が開設。ICRCとGDPの協力で、施設は大きく改善されました。

「私たちは刑務所内の簡易診療所を刷新をすることで、被拘束者に対しての医療を充実させることができると考えています。最も重要なのは、追加的な治療が必要かどうか診察できるため、必要なら公立病院に紹介できる、という点です」とICRCのルカ・ファルキ医師は説明します。

被拘束者は刑務所に到着すると同時に、保健スタッフによる健康診断を受けます。その後、臨床計画が立てられ、個人の診療記録は治療のために保管されます。他の被拘束者への伝染を防ぐため、感染症にかかっている被拘束者には隔離して治療が行われます。「このような医療をこれまでよりも効率の良く提供することができます。刑務所の保健スタッフは、より良い労働条件もと、改善された職場環境で働くのです」とICRCのカンボジア代表を務めるバート・ベルマイレンは話します。

ICRCはカンボジア刑務所と保健省当局と共に、標準化された機能的な刑務所の医療制度を設立をめざし、2015年5月に第二矯正センターで試験的なプロジェクトを始めました。

「この取組みがモデルとなり、当局や保健省が、国内の他の刑務所でも採用することを願っています」と話すルカ・ファルキ医師。

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第二矯正センターで新たな医療制度の導入を祝う、ICRCやカンボジア当局、国際連合(国連)、NGOの代表たち (c) ICRC / Nattasuda A.

目的達成には、政府の関係諸機関と国際組織の協力が重要となってきます。私たちはGDPや内務省、保健省、そして国連機関やNGOといった刑務所内の保健・医療の改善に携わる関係者からなる作業部会の設置を働きかけています。

ICRCは被拘束者の生活状態を改善するために、1993年からGDPと密接に協力してきました。さまざまな活動を行っていますが、収容所の建物を修理したり、被収容者の生活の質を大きく向上した水・衛生・医療プロジェクトを通して、被拘束者の生活の質向上に貢献してきました。

原文は本部サイト(英語)をご覧ください。