アフガニスタン:新しい“足”で歓喜のダンス
少し前にSNSで話題になったアフガニスタンの少年、アーマッド。新しい義足を得て、満面に笑みをたたえ楽しそうに踊るアーマッドを、ICRCの現地職員がツイッターの個人アカウントで紹介したとたん、一瞬にしてその姿が世界中を駆け巡りました。いいね!は4万を超え、海外のメジャーメディアがこぞってアーマッドを追跡取材しています。
ここでは、そうしたメディアの報道も織り交ぜながら、アーマッドの生い立ちをご紹介します。
現在5 歳のアーマッドは、生後8か月で[1]彼の姉のサリマと一緒に地雷の被害にあいました。幸い、サリマは回復しましたが、アーマッドは右足の切断を余儀なくされ、以来4年以上義足を装着して生活しています。
アフガニスタン東部のロガール州に家族と住む[2]アーマッドは、ICRCが首都カブールで運営するリハビリテーションセンターに通っていて、成長に合わせてこれまで4回義足を変えてきました。今年の5月初めに撮影された動画からは、新しい義足に“履き替えた”アーマッドの喜びが伝わってきます。
2018年5月末時点で、アーマッドのダンスは400万回以上再生されています。
私たちはアフガニスタンで30年以上、身体リハビリテーション事業を展開。アーマッドのように義肢・義足を必要とする人たちを支援しています。2015年の国勢調査によれば、当時のアフガニスタンの人口3300万のうち、4.5%にあたる約150万人が何らかの身体的障がいを抱えているといいます。現在、国内で7つのリハビリセンターを運営し、2018年には過去最多となる12,000を超える数の新規患者をサポートしました。
センターでは、義肢や車いすのほか、身体能力を回復するための理学療法も提供。また身体能力を取り戻した後も、職業訓練やビジネスを始めるための小口融資を通じて、社会復帰やソーシャルインクルージョンを目指した支援も行っています。また、アフガニスタンのリハビリ事業といえば、忘れてならないのは車いすバスケットボールです。体も動けるようになって、仕事も手に入れた患者たちが「余暇も楽しみたい!」と、チームを結成したのが9年前の2013年。今では、男女ともアフガニスタンのナショナルチームにまで成長しました。
2015年には、リオのパラリンピック出場をかけて、千葉で開催されたアジア予選のために男子チームが来日しています。
このように、アフガニスタンではリハビリ事業を通して、身体の自由だけでなく、人生を謳歌してもらえるよう「人間の尊厳」をあらゆる角度から支えています。
また、リハビリセンターの職員の9割以上が元患者で、アーマッドを担当する理学療法士のムルカラも、自身の体験を生かして、患者に希望を与えています。ムルカラも車いすバスケットボールの選手で、アフガニスタン代表女子チームの一員として活躍しています。
出典
[1] Hassan Sharif “Afghan boy dances with delight after getting new prosthetic leg”, The Washington Post, 7 May 2019, https://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/afghan-boy-dances-with-delight-after-getting-new-prosthetic-leg/2019/05/07/ae9a01b4-70c8-11e9-8be0-ca575670e91c_story.html?noredirect=on&utm_term=.fb02bab597ef#click=https://t.co/NNNmmM6tqG
[2] NowThis (nowthisnews). “Watch this boy from Afghanistan dance with joy after getting a new prosthetic leg” 9 May 2019, 10:48 p.m. Tweet. https://twitter.com/nowthisnews/status/1126483961897578496