エルサレム:ラマダンに向けてアル=アクサー・モスクの警備員に救急法を

イスラエル・パレスチナ
2016.06.17

ここ数か月にわたる暴力を伴う事態の頻発とラマダン期間に予想される気温上昇を受けて、ICRCとパレスチナ赤新月社は、エルサレムにあるアル=アクサー・モスクの警備員を対象に救急法の訓練を行いました。この聖地で国際機関の活動が許可されたのは、初めてのことです。

5日間の訓練では、男性警備員25名と女性警備員20名が、襲撃事件または自然災害に巻き込まれた被害者や熱中症の患者に対して行う、応急手当のスキルと行動方法を学びました。 © CC BY-NC-ND / ICRC / Jesus Serrano Redondo

アル=アクサー・モスクの管理とイスラム教関連の業務を担当し、ヨルダンのエルサレム・ワクフ(the Jordanian Jerusalem Waqf)の局長を務めるSheikh Azam AlKhatibは次のように話します。「神聖なこの地で国際機関が活動することは今まで一切許されませんでしたが、ICRCの掲げる中立性が、その状況を変えました。私たちは、こうした訓練にもっと参加していきたいと考えています」© CC BY-NC-ND / ICRC / Jesus Serrano Redondo

「アル=アクサー・モスクで働く警備員は、多発する暴力事件や負傷事件、火災などの災害に昼夜問わず対応が求められるため、応急手当の能力は必須です」と、Azam AlKhは話します。© CC BY-NC-ND / ICRC / Jesus Serrano Redondo

ラマダン中は、毎週金曜になると25万人以上がアル=アクサー・モスクを訪れます。そのため、急を要する患者に対してどう手当てをすべきか、警備員が把握していなくてはなりません。© CC BY-NC-ND / ICRC / Jesus Serrano Redondo

アル=アクサー・モスクを管理するヨルダン・ハシミテ王国はICRCに対し、エルサレムで最も知られる名所での訓練実施を許可しました。© CC BY-NC-ND / ICRC / Jesus Serrano Redondo

ある警備員は、「ラマダンの期間中、何十万もの人々が礼拝に訪れます。6月は暑くなるので、この応急処置の訓練が高齢者をはじめとした参拝者のサポートに役立ちます。最近はアル=アクサー・モスクで様々な事件を目にしたので、今回の学びはとても大切です」と語ります。© CC BY-NC-ND / ICRC / Jesus Serrano Redondo

緊急時、90%以上の命が応急処置によって助けられています。© CC BY-NC-ND / ICRC / Jesus Serrano Redondo

エルサレム旧市街出身のTariq Abu Sbeihは、アル=アクサー・モスクの警備員として18年間勤めています。危機や緊急事態の際に、ケガ人を包帯で覆ったり、気持ちを落ち着かせるなどといった必要な手当てを行えるよう、24名の男性警備員とともに救急法の訓練に参加しました。© CC BY-NC-ND / ICRC / Jesus Serrano Redondo

紛争や暴力を伴う状況下では、応急手当をする人は銃撃や崩壊した建物、炎上する車、瓦礫や催涙ガスなどにより怪我をする恐れがあります。普通は反射的に逃げ出す場面で、彼らは救助のために踏み出すのです。© CC BY-NC-ND / ICRC / Jesus Serrano Redondo

参加者は、イスラエル/パレスチナ自治区においてICRCが行っている離散家族の再会支援や収容所訪問などの保護活動、国際人道法についても学びました。© CC BY-NC-ND / ICRC / Jesus Serrano Redondo

16年前にアル=アクサー・モスクの警備員になったLamya Abu Rmeilehは、救急法の訓練に集中して取り組みました。「もし応急手当が必要な場面に遭遇したら、躊躇することなく今日の学びを実践します。相手が我が子でも、近所の人でも、アル=アクサー・モスクに居合わせた人でも、どんな事件でもこの気持ちに変わりはありません」© CC BY-NC-ND / ICRC / Jesus Serrano Redondo

ICRCはこれからもパレスチナ赤新月社と協力して、アル=アクサー・モスクの警備員に訓練を続けていきます。心臓発作などの非伝染性の疾患対応のほか、突発的な暴力事件の際に重傷化を少しでも減らせるよう、効率よく動けるようになることが目標です。© CC BY-NC-ND / ICRC / Jesus Serrano Redondo