ウクライナ東部ドンバスに安全な水を

ウクライナ
2021.04.28

すべての紛争当事者は、紛争下に置かれている住民に対して、日々の生活を営むのに十分な量の飲み水や生活必需品を継続的に提供しなければなりません。

ウクライナ(ICRC)―世界中で新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するための闘いが繰り広げられる中、水を安定供給することで安全衛生水準を維持し、ウイルスの蔓延を防ぐことがこれまで以上に重要になっています。

©ICRC

しかしながら、紛争が7年目に突入したウクライナ東部ドネツク州のドンバス地方では、水を入手することが容易ではありません。

水インフラが脆弱で老朽化し、維持管理が困難であることに加えて、戦闘の激化により断水が発生しやすく、また作業員が給水設備に近づけなくなっているからです。

ICRCは、ドンバス地方における緊急事態に対応し、住民の水へのアクセスを確保できるよう尽力しています。まず、ICRCのトラックで飲み水を運び、人々に届けています。

また、ドンバス地方の水道事業者に設備や消耗品、水処理薬品などを提供し、継続的に支援をしています。

さらに、こうした紛争地域において安定して水を供給するために、破損した水道設備の修復や予備のインフラの復旧にも力を貸しています。

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過去一年間の給水インフラ整備関連事業

上下水道の事業者に対して資材の提供や復旧支援を行うことで、コンタクトラインの両側で暮らす約86万4千人に水を供給しました。

具体的には、ポンプ場につながる送電線の復旧や、緊急対応用の特殊車両の寄贈、緊急修理用の燃料約2,000リットルの供給、水処理薬品750トンの提供などを実施しました。

破損した水道管を修復するためのチューブ

ルハンシク州ポパスナで約35万人に給水を行っている水道事業者に、破損した水道管を修復するためのチューブ2,500メートル分を寄贈。

また、コンタクトラインの両側で、緊急支援が必要な家庭や公共施設を対象に、井戸を掘削して得た地下水3万6,600リットルを供給しました。

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2015年に戦闘が激化した際に被害を受けたルガンスク州の移動診療所。看護師のリューボフさんは、「給水設備が破損したため、医療スタッフはしばらくの間、
自宅から水を運んできていた」と語る。患者2,000人をより良い環境で診療するため、ICRCは診療所改修に一役買った。

ICRCは2021年、水と住環境事業に活動資金を割り当て、100万人以上の生活をサポートします。

具体的には、病院や学校、幼稚園に飲み水を供給し、地元コミュニティーとそこで暮らす人々の支援を継続します。また、レジリエンス(回復力)を高め、成果をもって心豊かな時を分かち合えるようになりたいと願っています。