カメルーン:暴力事態下にある地域で医療が受けられることが重要課題
赤十字国際委員会(ICRC)は武力紛争やその他暴力事態下で、数千世帯が医療にアクセスできるよう取り組むことに加え、すべての人に医療を受ける権利があることを訴えています。
2021年、カメルーンの極北地域では武力紛争が続き、ナイジェリアと国境を接するチャド湖地域や、マイヨ・サヴァ、マイヨ・ツァナガの住民の暮らしに打撃を与えました。また、北西部および南西部地域は、2018年以降、武器を用いた暴力の長期化と治安の悪化による被害に見舞われています。
こうした地域で暮らす弱い立場に置かれた人々が医療を受けるには、常に大きな困難を伴います。
2021年の医療機関の記録によると、医療機関や医療スタッフ、患者が巻き込まれる重大事件は38件発生しました。
「こうした暴力が発生しているため、病院など医療施設で治療を受けることを恐れる人もいます」とICRCカメルーン代表部のステファン・ボナミ首席代表は語ります。
夜間外出禁止令が発令され、バリケードを含めた検問所の設置が増えたことにより、患者や時には救急車さえもが、医療施設にたどり着くことがますます困難になっています。
遠隔地では、多くの医療施設がスタッフの確保や必要な物資の入手に苦労しています。医療へのアクセスを改善するために、自主的に体制の構築を試みているコミュニティーもある一方で、最も弱い立場に置かれた人々は組織的な支援を得られずに追い込まれています。
ICRCは2015年から、カメルーンで武力紛争やその他暴力事態下における犠牲者の支援を始めました。公平・中立・独立という基本原則を守りながら、当局と連携し、大きな被害を受けた地域の医療施設の支援を行っています。医療スタッフの育成に加え、予防接種や診察、出産などの一次医療・二次医療、および心のケアなどの提供を支援しています。緊急手術が必要な患者には、紹介病院で治療を受けられるようにします。
また、行政当局や武装勢力、武装グループ、宗教指導者など、すべての武器携帯者や影響力のある人々と非公開の二者間対話を行うよう努めます。こうした対話は、私たちが人道支援を必要とするコミュニティーに確実かつ安全にたどり着けるようにするために欠かせません。民間人の保護にまつわる問題を議論し、すべての紛争当事者に国際人道法に則り、すべての傷病者や医療従事者を保護する義務を再認識してもらう機会でもあります。
「すべての紛争当事者は、医療に対する不可侵の原則を遵守しなければなりません。特に相手陣営の負傷者の命を助け、治療を受けさせることは重要です」と語るのはボナミ代表。「すべての当事者は、傷病者が医療を受ける基本的な権利を尊重し守ることに加え、医療関連の施設や車両、スタッフの保護を保証しなければなりません」と続けます。
2021年、私たちは以下の医療支援を実施しました。
- 5歳未満の子ども45,200人を含む、患者112,600人の治療
- 妊婦17,120人に対する産前診療
- 極北地域のマダ病院やモラ病院で、患者1,424人の手術
- 5歳未満の子ども38,260人に対する予防接種
- 2,910人の赤ちゃんの出産