ミャンマー:ラカイン州の人々のために

ミャンマー
2018.07.05

2017年8月25日にラカイン州で発生した暴力は、近年においても規模が大きい人道危機の一つにまで発展しました。70万以上の人々がバングラデシュへ逃れ、何千もの人々が州内で避難を強いられています。

危機から1年近く経過した今なお、多くの人々がマーケットや生活に必要な基本サービス、医療へのアクセスがなく、苦しんでいます。国際赤十字運動はこれまでに約3万人を支援してきていて、今後も活動を続けていきます。

私たちの活動の中心にあるのは、ラカイン州の人々です。どこへ行こうとも、暴力で被害を受けた全てのコミュニティーを支援します。そして、私たちの全活動において、中立と公平の原則に基づいたアプローチをとるということは不変です。

そうすることが、むしろ、安全性の確保や信頼関係の構築につながります。結果的に、社会的に最も弱い立場にある人々や、私たちの支援を最も必要としている方々に支援を届けることが可能になるのです。

また、活動の際に、人々が私たちの活動を手助けをしてくれるきっかけにもなります。食料袋を運ぶことから、竹材を運んだり、トラックから荷を下ろしたり、支援機材を運んだり、ラカイン州のどこへ行っても、現地の人々が積極的に私たちの作業を手伝ってくれます。

暴力が発生してから10カ月が経った現在も活動し続けられるのは、こうした関係のおかげです。また、ラカイン州の人々にはより良い未来が待っているという希望も与えてくれます。

【コミュニティーの強化】 6人の子どもの母親、カイ・ヌさんは、雨季の訪れを心配しています。彼女の家は、2017年5月に発生したサイクロン「モラ」に流されてしまいました。近所の人たちが家の再建を手伝ってくれましたが、大きな嵐に耐えられるほど頑丈ではありません ©C. Ambler/ICRC

【どの世代も支援】 緊急支援を受けるガクヤ村一帯に住む人々。1日で、ラカイン州北部にある2つの村一帯の5,000人以上が食料や支援物資を受けることができました。中身は缶詰の魚、米、オイル、お茶、砂糖、塩、ブランケット、簡易濾過(ろか)装置などです  ©C. Ambler/ICRC

【みんなの手助け】 キー・カン・ピン キャンプでの衛生講習会の際に、コミュニティーのあるメンバーが進んで通訳をしてくれました。彼は、仮設の避難所で過ごしていて、早く家に帰ることを望んでいる大勢の中の1人です ©H. Y. Eain/ICRC

【支援を拡大】 今回の危機で影響を受けた全コミュニティーの人々が木陰に集まって、支援物資の配付を待ちます。雨季を前に、赤十字はラカイン州全土で、食料の配付を2倍に増やしました ©H. Y. Eain/ICRC

【善意ある行いが大切】 キー・カン・ピン キャンプに届いた支援物資の袋を、男女問わず、人々が進んでトラックから下ろしてくれます。この訪問で、村の170世帯全員が通常の2倍の食料を受け取りました。2カ月分に相当し、雨季を乗り切るためです ©H. Y. Eain/ICRC

【遠くへ、そして幅広く】 ラカイン州の北部では、ボートがコミュニティーにたどり着く唯一の手段です。同州の州都シットウェの近くに位置する、遠く離れたパウクタウ島では、350世帯が、雨季を前に行われる避難所の補強プロジェクトの恩恵を受けます ©C. Ambler/ICRC

【立ち直る力を支援】 「これは私の家です。照りつける太陽の下で1日中作業をするのはとても疲れますが、雨季が来るので、3人の幼い子どもたちのためにも、ちゃんとした屋根が必要。急がなくてはなりません」と、アブ・アランさん。赤十字国際員会(ICRC)は、地元の大工職人への賃金支払いや訓練を通じて、サイクロンに対する家屋の耐久性を高めています。この支援によって、コミュニティーに収入と回復力がもたらされます ©H. Y. Eain/ICRC