エリトリア:家畜の健康を維持して村の生活を守る

エリトリア
2016.03.31
Adi Ashke村で行われた寄生虫治療と小反芻獣疫(PPR)ワクチン接種プログラム ©CC BY-NC-ND / ICRC / Medhanie Ghirmay

Adi Ashke村で行われた寄生虫治療と小反芻獣疫(PPR)ワクチン接種プログラム
©CC BY-NC-ND / ICRC / Medhanie Ghirmay

 

エリトリア国内にある1000人規模の小さな村、アディ・アシュケ―ルの住民にとっては、家畜が全てです。人々の生活は、羊や山羊、畜牛の健康状態に左右されます。さらに家庭の豊かさは、飼育している家畜の数によって決まります。そのため家畜を良好な状態に保って病気や寄生虫から守ることが、コミュニティ全体の生活を守り、外部からの影響を受けずにいられることにつながります。

 

エリトリア南部に位置するアディ・アシュケ―ルは、降雨量の少ない地域です。村で半遊牧生活を送る酪農・畜産農家と動物は、牧草地と水源を求めて2-3時間歩き回ります。農業は難しいものの、村人たちで穀物とモロコシの栽培をしています。それでも、動物の健康を一番に案じています。

 

「日々の生活のために現金が必要になったり、苦しい状況に陥ったりしたときに飼っている動物たちを売るんです」。

 

デブブ地方の マイ・マインにあるアディ・アシュケ―ルの住人、Mengisteabさんは話します。「それに雄牛を使って農地を耕しています。私たちの生活は、かなりの部分を動物に頼っています。動物が元気であれば、生活も安定するのです」。繰り返される干ばつや家畜の病気で生産性が落ちてしまうことが課題だ、と続けるMengisteabさん。

 

エチオピアとの国境にほど近い地域のマイ・マインでは、農業省と協力して私たちが実施する寄生虫治療キャンペーンが、年に2回のペースで過去3年間行われています。2015年には、240万頭以上の動物に対して外部・内部寄生虫の駆除が行われました。また国内の一部で寄生虫が蔓延した影響から、二回にわたる治療を行ったのは60万頭以上にもなりました。

 

感染症の一種である小反芻獣疫(PPR)の再流行への対策として、羊と山羊へのワクチン接種を2015年10月から同時に行っています。生涯有効な免疫を得た動物には、耳に札を付けますが、ムスリム教徒とキリスト教徒が混在するアディ・アシュケ―ルの住人たちはこのワクチン・キャンペーンを最大限に活用しています。こうした印は「ワクチン接種を受けた健康な家畜だと証明してくれる」のだと、ある畜産農家は言います。

 

家畜に効果のある薬を探すのは住民には難しい、と話すのはゲブレグジャベルさん。彼は、1月に実施したワクチン接種キャンペーンに家畜を連れて訪れた、年配の村人です。「地元の市場で売っている薬は質が悪いが、一番近い動物病院までは往復で8時間かかる。だから毎年このキャンペーンの時期になるまで待っているんだ。とても効果があるし、いつも動物たちの調子が良くなるのが目に見えて分かるからね」と話します。

 

原文は、本部サイト(英語)ご覧ください。