アフガニスタン:人々が危機下を生き延びられるよう現金給付を実施
アフガニスタン東部ホースト州ウォッホ・クワラでは、国内の各州からの避難民や近隣諸国からの帰還者が暮らしていて、その誰もが悲惨な状況に置かれています。仮設の住居での暮らしを余儀なくされていることに加えて、水や電気、医療など必要な公共サービスをほとんど利用できずにいるのです。さらに、アフガン全土で経済危機が深まり、就業機会が失われていることが相まって、人々に追い打ちをかけています。こうした状況下で、パシュトゥ語で「乾いた川」を意味するウォッホ・クワラで暮らす人々は、極度の貧困に陥っています。
このコミュニティーで暮らす人々の衣食住や薬、電気・ガス・水道などの基本的なニーズを満たすために、赤十字国際委員会(ICRC)は2022年6月から9月にかけて、2,357世帯にそれぞれ2万アフガニスタンドル(約230米ドル、または約32,600円)を無条件で現金で支給しました。これにより、未亡人や障がい者、栄養失調の子どもや授乳中または妊娠中の女性を抱える低所得者層が大部分を占める、この地域の住民の約8割にあたる1万8,000人超のニーズを5カ月にわたって満たすことができました。
しかし、同国の経済状況が深刻さを増す中、ICRCの職員であるタリブ・ジャンによると、人々は受け取った現金のほとんどを食料の購入と、それまでつけ払いをしてきた店への支払いに充てざるを得なかったということです。
「受け取ったお金は、小麦粉や砂糖、茶葉などの基本的な食料品の購入に使った他、医者にかかる費用や薬代、そして子どもたちの靴代に充てました」と語るのは、ある匿名希望の女性です。未亡人でありながら、16人の子どもの母親でもあり、一家の稼ぎ手として、家族を生き延びさせるために日々困難に立ち向かっているその女性は、「私たちが暮らす地域には、多くの問題があります。その一つが、飲み水が手に入らないことです。私たちは毎日長い距離を歩いて水を汲みに行かざるを得ません」と語ります。
37人の家族を持つハズラット・カーンは、8月に同国を襲った鉄砲水で家を失いました。家族を何としても養おうと、単発の仕事を幾つか行っていますが、1日あたり70アフガニスタンドル(約0.8米ドル、または約110円)程度しか稼ぐことができず、暮らして行くのに十分な収入は得られていません。「現金給付のおかげで、私たちはまるで再び海に放たれた魚のように、生き延びることができました」とカーン語ります。
ウォッホ・クワラで暮らす障がい者であり、ICRCの現金給付プログラムの恩恵を受けたバーンクは、給付金を食料の購入に充てたと語ります。「私のような人が、こうした状況に自力で対処するのは困難です。国際社会には、仕事がなく、食べ物も手に入らない人々のための支援を行ってほしいと思います」。
バーンクが置かれている状況は、アフガニスタン全体が直面しているジレンマを反映しています。2021年8月以降、70万人近くが職を失い、被雇用者の9割近くが1日1.9ドル以下の収入しか得られていません。最新情報よると、同国の人口の半数超にあたる推定2,400万人以上が人道支援を必要としています。
今年、ICRCはアフガニスタン全土で最も弱い立場に置かれている1万世帯以上(8万人)に対して、その基本的なニーズを満たすための多目的の現金支給を行いました。また、2万に上る小規模農家に、土地の整備や農業用品の購入のための現金を支給しました(これにより、16万人が恩恵を受けました)。しかし、長年にわたり続く紛争の影響に加えて、燃料や肥料の価格上昇や、持続可能な生計手段を得る機会の欠如に対処するためには、さらに多くの人道支援という形での対応が求められます。
ICRCは40年以上にわたってアフガニスタンの人々に寄り添い続けてきました。私たちの支援が必要とされる限り、これからも現地での活動を続けて行きます。私たちは、アフガニスタン赤新月社と連携して、同国各地で支援を行っています。ホースト、ヘラート、ラシュカルガー、カンダハール、カブール、マザーリシャリーフ、ファイザーバード、ジャラーラーバード、ガズニ―、グルバハール、ファラーに拠点を置き、1,800人を超える職員が、質の高い医療やリハビリ支援、保護、水と衛生設備の改善、経済安全保障など、人道にまつわるさまざまなサービスを提供しています。