アフガニスタン：2021年上半期のICRC活動報告～コロナ禍で戦闘が激化、大きな犠牲を払う民間人

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アフガニスタンは、世界の中でも民間人が最も命の危険にさらされている国や地域のひとつです。そして、民間人の死傷者の約半数は、女性と子どもが占めています。ここ数カ月にわたり戦闘が激化する中、地域コミュニティーは猛威を振るう新型コロナウイルス感染症への対応にも迫られています。

アフガニスタン（ICRC）―2021年の上半期、赤十字国際委員会（ICRC）は、49,500人以上に上る戦傷者の治療や手当てを支援しました。つまり、人生を変えるほどの重症を負い、痛みを抱え、治療を必要としている人が、１日平均270人いるということです。ICRCが支援している、同国南部カンダハルにあるミルウェイズ地域病院では、今年の上半期に2,366人の武器による負傷者の治療を行いました。実に、前年同時期比、２倍以上の患者数です。

同時期に、ICRCのリハビリ・義肢装具サービスに新規登録された患者数は7,130人以上、つまり、１日平均40人に上りました。そのうち700人以上、または、１日平均４人が手足の切断手術を受けた患者でした。

私たちのスタッフは、アフガニスタン各地に設置した合計７つのリハビリセンターで、今年の１月以降、合計約８万人を支援してきました。その間、同国各地で戦闘が激化していきました。

「ICRCは、すべての紛争当事者に対し、民間人に危害を加えないよう一層努力するよう訴えています。紛争に伴う戦闘の激化や治安の悪化、水や電気のインフラの破壊、交通アクセスの寸断、医療施設や医療従事者への攻撃などが、アフガニスタンの人々の暮らしに大きな影響を及ぼしています」とICRCアフガニスタン代表部エロイ・フィリオン首席代表は語ります。

「40年以上にわたる武力紛争により、アフガニスタンの医療システムはほぼ壊滅状態にあります。そこに、新たに新型コロナウイルス感染症が大きな脅威として加わった今、医療へのアクセスは、国内全域で最も緊急性の高い人道ニーズのひとつとなっています。政治的立場に関係なく、です」とフィリオン首席代表は続けます。

ICRCは、武力紛争下にある人々が緊急で必要とする人道支援を届けるために、アフガニスタンで活動を行っています。

また、国際人道法（IHL）が確実に尊重されるよう、すべての紛争当事者に引き続き働きかけています。特に、紛争や戦闘下においても医療従事者・医療施設・救急車両などの民間人や民間インフラを保護すること、また、武力紛争とコロナ禍での犠牲者の対応に当たる医療を支援することを中心に訴えています。

2021年上半期のアフガニスタンにおけるICRCの活動まとめ：

 
被拘束者が置かれた環境の改善と家族の連絡回復・再会支援

• 4,543人の被拘束者に保健医療サービスを提供。
• 2021年のサービス開始以降、大切な人と連絡が取れなくなった家族から追跡調査の依頼や逮捕されたとの申し出が547件あり、そのうち205人もの所在を確認。

戦傷者への医療支援

• ICRCが支援する全国416カ所の医療施設（アフガニスタン赤新月社が運営する医療施設を含む）で、49,500人以上の武器による負傷者に治療や手当を実施。
• 武器により負傷した患者が、病院への搬送前に一次治療を受けることができるよう、同国各地で計42回の応急処置のセッションを実施し、550人以上にトレーニングを提供。

コロナ対策用の防護具の提供

• カブール医科大学傘下の６つの病院に、衛生用品と個人用防護具のキットを提供。
• アフガニスタン保健省やアフガニスタン赤新月社など、同国内の保健医療関係者の介入を補完するための支援を実施。

義肢装具やリハビリの提供

• 手足を切断した723人を含む、7,138人の患者を新規登録。
• ICRCが支援する７つのリハビリセンターで79,953人の患者を支援。

尊厳ある遺体の取り扱い

• アフガニスタン赤新月社と協力し、2,449人の戦闘員と民間人の遺体を返還し、家族に引き渡した。
• 635個の遺体袋、65足のゴム長靴、80枚の使い捨てエプロン、2,950枚の手術用マスクなどの医療材料を、州立病院や地域病院の法医学部門や遺体安置所に寄贈。

コミュニティーへの直接支援

• 深刻な危機に陥っている7,658人以上に対して、必要不可欠なニーズを満たせるよう現金を支給。
• ２つの州の州都で合計35,700人を対象とし、水へのアクセスを改善。具体的には、ラシュカルガーで３つの給水塔を改修し、市内で暮らす9,450人に水を供給できるようにしたことに加え、ジャララバードに新たに水道施設を設置し、4,500人に水を直接供給できるようにした。