アフガニスタン:身近で寄り添う私たちの切実な訴え「今こそ支援を」
9月上旬に、アフガニスタンを訪れたペーター・マウラー総裁は、訪問を終えて次のように語りました。「ICRC総裁として、これまで数多の苦しみや絶望を見てきましたが、40年にわたる戦争でここまで痛めつけられたアフガニスタンを、なんと表現したらいいのでしょうか」
総裁は、人道上の支援をアフガニスタンに対して継続するよう、国際社会に対して要請。支援が寄せられることで、「保健医療や安全な水、学校が確保でき、アフガニスタンの人々をどん底から救うことができます」と語りました。「取り急ぎの策でも構わないので、国際社会は何とかして支援を継続する方策を見出すことが必須です」。
マウラー総裁は滞在中、首都カブールと南部ラシュカルガーでICRCが支援する病院や医療施設、障がい者リハビリテーション施設を訪れました。1987年からアフガニスタンに拠点を置き、戦闘の犠牲となった人々を支援・保護しているICRCは、負傷者の治療や、義肢・義足の提供なども行っています。
戦争が終わっても、地雷や不発弾、即席爆発装置などが人々を苦しめ、痛め続けます。1988年からカブールで始まった四肢矯正事業ですが、ここ数年は膨大な数の患者を受け入れてきました。ポリオや脊椎損傷、小児麻痺、生まれつきの障害などで通ってくる人も多数いますが、約4分の1の患者は、主に地雷や不発弾で手足を失っています。みなが、少なくとも数年、中には一生にわたって治療を必要とするケースもあります。
私たちICRCは、そうした地元の人々を支援・保護するため、アフガニスタンから職員を撤退もしくは退避させることはありません。国内パートナーのアフガニスタン赤新月社とともに、アフガニスタン全土で引き続き活動していきます。また、私たち赤十字、赤新月の支援は、助けを必要とする人々に直接的に届けられ、政府や紛争当事者、赤十字以外の団体を介して渡すことはありません。
アフガニスタンで活動する赤十字運動への救援金は、日本赤十字社でも受け付けています:https://www.jrc.or.jp/contribute/help/afghan/
ICRCとアフガニスタン:
- 国内に7つの障がい者リハビリ/四肢矯正センターを擁し、2021年上半期には約8万人の患者が通いました。うち1万4千人は女性です。この期間の新規患者は約7千人で、700人が四肢を切断しました。※7施設の所在地:Kabul, Jalalabad, Gulbar, Faizabad, Mazar-i-Sharif, Herat, and Lashkar Gah
- 上半期の活動報告はこちら:https://jp.icrc.org/activity/afghanistan-civilians-paying-steep-price-surge-violence-and-covid-19/
- このほか、私たちが支援したクリニックおよび移動診療チームは先月だけで89に上り、以前の46から約二倍に跳ね上がりました。これらに加えて、病院二カ所(カブールおよびカンダハール)もサポートしました。
- 現在、アフガニスタン全土で1,800人を超える職員が働いています。
- タリバン幹部とマウラー総裁の会談:https://twitter.com/ICRC_jp/status/1435074638632013836?s=20
1863年に創設されたICRCは、紛争や武力行為の犠牲になった人々を世界中で保護・支援しています。アフガニスタンにおいても医療のみならず、生活の自立支援、食料・水・避難所の提供、離散家族の連絡回復・再会支援、戦争捕虜や被拘束者の訪問、戦傷外科や障がい者支援、心のケアなど、その活動は多岐にわたります。戦時のルールであるジュネーブ諸条約から人道上の役割を与えられている私たちは、全ての紛争当事者と対話しながら、中立、独立、公平を掲げて現場の人々に寄り添い、人道ニーズに対応しています。