アフガニスタン:人口の半数超に人道支援が必要

アフガニスタン
2023.06.08

カブールの路上で働く2人の子どもたち。児童労働者の数は3倍に増えている。©ICRC

アフガニスタンでは今、人口の半数超(55%)が人道支援を必要としています。すでに悲惨な経済状況にもかかわらず、経済制裁が追い打ちをかけています。男女ともに雇用が失われ、仕事や労働の機会がない一方で、生活必需品の市場価格が高騰しているため、人々の購買力は著しく低下。食料や暖房用品、その他生活必需品などの最も必要なニーズを満たすことが困難になっています。

同国では、医療へのアクセスも依然として大きな懸念事項です。数十年にわたる紛争と長引く経済的苦難の結果、数千もの医療施設が限られた資金と資源の中で苦闘し続けています。医療従事者は、献身的かつ勇敢に命を救うために日々最善を尽くしていますが、医療システムが機能しない限り必要なケアを提供することはできません。

一般家庭では、電気や安全な飲料水の不足が深刻化しています。このため、特に都市部では、急性水下痢などの水系疾患にかかるリスクが生じています。水インフラへの投資不足と資金不足により、清潔な飲料水が手に入らず、数百万ものアフガニスタン人の命が危険にさらされています。

また、2021年8月の政権移行以来、戦闘は同国全土で減少しているものの、地雷などの爆発性戦争残存物によって死傷する人が後を絶ちません。赤十字国際委員会(ICRC)も、爆発性戦争残存物による負傷者の増加を確認しています。その背景には、戦闘の減少により一般市民が再び移動できるようになり、激闘の末に残された不発弾で高度に汚染された地域も通るようになった、ということがあります。安全と安心を取り戻すためにも、こうした兵器を除去することは欠かせません。


ICRCは、アフガニスタンでの人道支援に継続的にかつ全力で取り組んでいます。世界の他の地域同様に、紛争の影響を受けた最も弱い立場に置かれた人々に寄り添っています。支援の対象者は、性別や年齢、信条、部族などに関係なく、すべての個人です。また、ICRCは社会を構成するすべての人々が支援や保護を公平に受けられるようにしています。弱い立場に置かれがちな女性や子ども、そして被拘束者など自由を奪われた人たちに対しても、必要な援助を提供するよう努めています。

ICRCとアフガニスタン赤新月社が連携して人道支援を行ってきた歴史は長く、助けを必要としている人々を多方面から支えてきました。命や暮らしを維持するための支援をはじめ、水や衛生環境、保健医療、経済的な自立、離散家族の連絡回復・再会に必要なサポートを提供しています。紛争や自然災害などで被害を受けた地域社会が力を取り戻せるように、両者は同国での活動を補完し合い、人道危機への対応に真っ向から取り組んでいます。