バングラデシュ:排泄物等で汚れた泥の安全な処置を支援
ここテクナフ郡の人々を苦しめてきたのは、非衛生的なトイレです。これによって子どもたちは頻繁に病気を患っていました。しかし今では、衛生施設と安価な排泄物で汚れた泥除去サービスの存在が、コミュニティー全体に健康的な生活をもたらしています。
ノビ・ホセイン(コックスバザール県テクナフ郡の住民)
コックスバザール県テクナフ郡自治体では、約3万人の住民が生活しています。しかし、2017年のミャンマー西部ラカイン州で発生した暴力により避難してきた人々が流入すると、安全な衛生環境に向けた解決策が存在しないテクナフ郡は健康被害と環境劣化に陥りました。それまで浄化槽やピットを手動で空にする方法が一般的であったため、糞便汚泥の90%以上が周囲に直接排出され、健康と幸福に深刻な影響を与えました。
赤十字国際委員会 (ICRC) は、現地コミュニティーのニーズに応えて、2019年2月に糞便汚泥管理 (FSM) プロジェクトを開始しました。2020年3月には、水や生物を媒介する疾患(例えば、下痢や皮膚疾患)を抑制するため、糞便汚泥を効率的に収集・処理できる施設を自治体と協力して設立しました。
同プロジェクトの開始以来、500世帯以上がこのサービスを利用しており、約1,000立方メートルの汚泥が収集・処理されました。また、同プロジェクトは、過去2年間の衛生活動を通じて、3,500世帯に対して不適切な汚泥処理と環境汚染の危険性を喚起してきました。
2023年12月、持続可能な取り組みを目指して、ICRCは同プロジェクトをテクナフ郡自治体に引き渡しました。テクナフ郡長であるモハマド・イスラムは、ICRCとの実りあるパートナーシップに感謝の意を表しつつ、設立された施設はコミュニティーの幸福へのコミットメントの証であると強調しました。公衆衛生と環境劣化の2つの課題に取り組む同プロジェクトは、生活を改善するだけでなく、次世代のために自然環境を保護に貢献していきます。